「自己都合で辞めたら、失業保険は何ヶ月も待たないともらえない」
そう思い込んでいる方は多いのですが、実際には条件を満たせば待期期間の7日が明けた翌日から受給を開始できます。逆に、何も知らずに手続きを進めると、本来なら不要だったはずの給付制限期間をまるまる待つことになります。
この記事では、自己都合退職でも失業保険をすぐもらうための4つの方法と、そのために必要な書類・手続きの流れを、時系列に沿って解説します。
失業保険は自己都合退職でもすぐもらえる?
結論から言うと、自己都合退職でも失業保険をすぐもらうことは可能です。ただし「誰でも自動的に」ではなく、該当するルートを自分で選び取る必要があります。
まずは、自分がどのパターンに当てはまるのかを把握しましょう。
| あなたの状況 | 給付制限期間 | 受給開始の目安 |
|---|---|---|
| 特定理由離職者・特定受給資格者に認定された | なし | 待期7日の翌日から |
| 公共職業訓練・対象の教育訓練を受講する | 解除(なし) | 待期7日の翌日から |
| 上記に当てはまらない一般の自己都合退職 | 原則1ヶ月 | 待期7日+1ヶ月経過後 |
| 過去5年以内に自己都合退職を繰り返している | 3ヶ月 | 待期7日+3ヶ月経過後 |
上の3行に入れるかどうかが、実際の受給日を2ヶ月近く左右します。
自己都合退職の給付制限は原則1ヶ月
自己都合で退職した場合、ハローワークで手続きをしてもすぐには基本手当が支給されず、一定期間の支給停止があります。これが「給付制限期間」です。
現在の制度では、自己都合退職の給付制限期間は原則1ヶ月です。かつては2ヶ月、さらにさかのぼれば3ヶ月とされていた時期があるため、ネット上の古い記事や、退職経験のある知人の話では「3ヶ月待った」という情報が今も流通しています。この点は自分の状況に置き換えて確認してください。
つまり、特別な事情がない一般的な自己都合退職であっても、待期期間7日+給付制限1ヶ月を経過すれば、支給対象期間に入ります。
待期期間7日と給付制限期間の違い
混同されやすいのが「待期期間」と「給付制限期間」です。この2つは性質がまったく違います。
待期期間は全員に共通する7日間
待期期間とは、ハローワークで求職の申込みをして受給資格が決定された日から通算7日間のことです。これは離職理由に関係なく、会社都合でも自己都合でも全員に適用されます。
重要なのは、待期期間のカウントが始まるのは「退職日」ではなく「ハローワークで手続きをした日」だという点です。退職後に手続きを先延ばしにすると、その分だけ受給開始も後ろにずれます。
給付制限期間は自己都合退職者だけに課される
給付制限期間は、待期期間の7日が終わった翌日からスタートします。会社都合退職や特定理由離職者にはこの期間がなく、待期満了の翌日から支給対象期間に入ります。
言い換えれば、「すぐもらう」ための戦いは、この給付制限期間をゼロにできるかどうかに集約されます。
最短では待期満了の翌日から受給できる
給付制限がかからないルートに乗れた場合、待期期間の7日が終わった翌日から支給対象期間が始まります。
ただし、支給対象期間に入った日にお金が振り込まれるわけではありません。実際の入金は、最初の失業認定日にハローワークで失業状態を認定してもらったあと、おおむね5営業日前後で指定口座に振り込まれます。
そのため、手続きから初回振込までの体感は次のようになります。
- 給付制限なしのケース:手続きから約1ヶ月前後
- 給付制限1ヶ月のケース:手続きから約2ヶ月前後
「すぐもらう」と言っても即日ではないため、退職前から生活費の見通しを立てておくことが前提になります。
給付制限が3ヶ月になる2つのケース
原則1ヶ月と説明しましたが、例外として3ヶ月の給付制限がかかるケースがあります。自分が該当しないか確認してください。
過去5年以内に自己都合退職が2回以上ある
短期間で自己都合退職と受給を繰り返している場合、給付制限期間は3ヶ月になります。具体的には、離職日からさかのぼって5年以内に、自己都合退職を理由とする受給資格決定が2回以上ある場合、3回目以降が対象です。
転職回数が多い方や、直近数年で複数回の離職がある方は、過去の受給履歴を確認しておきましょう。なお、会社都合退職や特定理由離職者としての受給はこのカウントに含まれません。
重大な理由による解雇に該当する
自分の責めに帰すべき重大な理由によって解雇された場合も、給付制限は3ヶ月です。懲戒解雇などが典型例で、この場合は退職理由が自己都合でなくとも制限がかかります。
自己都合でも失業保険をすぐもらう4つの方法
ここからが本題です。給付制限をゼロにする、あるいは実質的に短縮するための具体的な方法は4つあります。
自分に使えるルートがどれか、上から順に確認していってください。
方法1:特定理由離職者の認定を受ける
もっとも該当者が多く、効果も大きいのがこのルートです。
特定理由離職者とは、形式上は自分から退職を申し出ていても、やむを得ない正当な理由があったと認められる離職者を指します。認定されれば給付制限は課されず、待期満了の翌日から支給対象期間に入ります。
認定されると受給要件も緩和される
特定理由離職者のメリットは、給付制限がなくなることだけではありません。
一般の自己都合退職では、離職日以前の2年間に被保険者期間が通算12ヶ月以上必要です。一方、特定理由離職者と認められた場合は、離職日以前の1年間に通算6ヶ月以上あれば受給資格を得られます(一部の理由に限る)。
在職期間が1年に満たず「そもそも失業保険をもらえない」と諦めていた方でも、受給できる可能性があります。
判断するのは会社ではなくハローワーク
ここを誤解している方が非常に多いのですが、離職理由の最終判断はハローワークが行います。会社が離職票に「自己都合」と記載していても、それがそのまま確定するわけではありません。
採用側にいた経験から言えば、会社は原則として自己都合で処理しようとします。会社都合の離職者を出すと助成金の受給要件に影響が出る場合があるため、実務上は自己都合での合意を求められることが少なくありません。この構造を知らないまま離職票にサインしてしまうと、あとから覆すのに余計な労力がかかります。
方法2:特定受給資格者に該当しないか確認
特定理由離職者よりさらに手厚い扱いを受けられるのが、特定受給資格者です。
こちらは倒産や解雇など、会社側の事情で離職を余儀なくされた人が対象で、給付制限がないことに加え、所定給付日数も自己都合退職より長く設定されています。
実質的な退職強要は自己都合ではない
形式的には「自分で退職届を出した」ケースでも、次のような事情があれば特定受給資格者に該当する可能性があります。
- 賃金が支払われなかった、または大幅に引き下げられた
- 離職前6ヶ月のうちに、法定の上限を超える時間外労働があった
- 退職を執拗に勧奨された
- 採用時の労働条件と実際の条件が著しく異なっていた
心当たりがある場合は、自己都合として処理する前に必ずハローワークへ相談してください。
方法3:公共職業訓練を受講して制限解除
退職理由に特別な事情がない場合でも、給付制限を解除する方法があります。それが職業訓練の受講です。
ハローワークの指示を受けて公共職業訓練(ハロートレーニング)を受講すると、訓練の開始日以降、給付制限が解除されます。給付制限期間の途中であっても、訓練が始まった時点から基本手当の支給が始まります。
受講手当や交通費も支給される
このルートの利点は、給付制限が解除されるだけではありません。訓練期間中は受講手当や通所手当が別途支給され、訓練期間が所定給付日数を超える場合には給付が延長される仕組みもあります。
スキルを身につけながら受給できるため、キャリアチェンジを考えている方には合理的な選択肢です。
申込みから受講開始までの期間に注意
一方で、訓練コースには定員があり、選考(面接や筆記)が実施されることもあります。申込みから受講開始まで1ヶ月以上かかるケースもあるため、「すぐもらう」目的だけで選ぶと、かえって遅くなる可能性がある点は理解しておいてください。
退職を決めた段階で、興味のあるコースの開講スケジュールを調べ始めるのが現実的です。
方法4:教育訓練給付の対象講座を受講
公共職業訓練よりも間口が広いのが、教育訓練給付制度の対象講座を受講するルートです。
離職日前1年以内に開始した講座、または離職後に受講を開始した講座が対象となり、条件を満たせば給付制限が解除されます。厚生労働大臣が指定する講座であることが前提のため、受講を検討している講座が指定対象かどうかを事前に確認してください。
「制限が2ヶ月から1ヶ月に短縮される」は誤情報
ネット上には「教育訓練を受けると給付制限が短くなる」という説明が残っていますが、これは古い制度を前提とした記述です。現在は、対象の教育訓練を受講した場合、給付制限そのものが解除されます。
4つの方法の受給開始時期を比較
ここまでの4つを整理すると、次のようになります。
| 方法 | 給付制限 | 必要なもの | 難易度 |
|---|---|---|---|
| 特定理由離職者の認定 | なし | 正当な理由を裏づける証明書類 | 中 |
| 特定受給資格者の認定 | なし | 労働条件や離職経緯の客観証拠 | 中 |
| 公共職業訓練の受講 | 訓練開始日から解除 | コース選考の通過 | 中 |
| 教育訓練給付の対象講座 | 解除 | 指定講座の受講費用 | 低 |
もっとも早いのは、退職理由そのもので認定を受ける方法1と方法2です。まずは自分の退職経緯が該当しないかを検討し、当てはまらない場合に方法3・方法4を検討する、という順番で考えるのが効率的です。
特定理由離職者と認められる主なケース
給付制限をゼロにする方法のなかで、もっとも多くの人に可能性があるのが特定理由離職者の認定です。
ただし、「つらかったから」「人間関係が悪かったから」という主観的な訴えだけでは認められません。ハローワークが見ているのは、退職せざるを得ない客観的な事情があったかどうかと、それを裏づける資料があるかどうかの2点です。
ここでは該当しやすい代表的なケースと、それぞれで必要になる書類を整理します。
病気やケガで働き続けられなかった場合
体調不良を理由に退職した場合、正当な理由のある自己都合離職として扱われる可能性があります。
うつ病や適応障害などの精神疾患も対象です。実務上もっとも該当者が多いのがこのケースで、在職中に通院していた記録があれば認定につながりやすくなります。
「働ける状態」であることが受給の前提
ここで注意が必要なのは、失業保険はあくまで「働く意思と能力がある人」への給付だという点です。療養中でまったく働けない状態では、そもそも受給資格が認められません。
そのため、離職時点では就労が困難でも、その後に回復して求職活動ができる状態になったタイミングで申請する、という流れが基本になります。すぐに働けない場合は、受給期間の延長手続き(最長3年)を先に済ませておくと、受給できる権利を失わずに済みます。
医師の診断書は退職前に取得しておく
診断書は退職後でも取得できますが、在職中の症状と退職理由の因果関係を示すうえでは、退職前後の日付で発行されたもののほうが説得力があります。
診断書には、いつから症状があったのか、就労が困難だったのかが記載されていることが望ましいため、発行を依頼する際に「離職理由の証明に使う」と医師へ伝えておくとスムーズです。
家族の介護・看護が必要になった場合
父母や配偶者などの介護、看護のために退職せざるを得なかった場合も、正当な理由として認められます。
対象となるのは、常時本人の介護が必要な状態にある家族を介護するケースです。単に「実家が心配だったから」という理由では足りず、要介護状態であることを示す資料が必要になります。
介護保険の要介護認定通知書や、医師の診断書、施設の入所証明などが該当します。
ハラスメントや長時間労働があった場合
職場でのハラスメントや過重労働が原因で退職した場合は、特定受給資格者に該当する可能性があります。
具体的には、離職前6ヶ月間のうち、いずれか1ヶ月で時間外・休日労働が100時間を超えた月がある場合や、連続する複数月の平均が80時間を超えた場合などが基準として示されています。
証拠は在職中に確保しておく
退職後に会社から労働時間の記録を取り寄せるのは、現実には簡単ではありません。
タイムカードのコピー、勤怠システムの画面キャプチャ、業務メールの送信時刻、入退館記録など、労働実態を示すものは在職中に手元へ保存しておいてください。ハラスメントについても、日時と内容を記録したメモ、メールやチャットのやり取り、社内相談窓口への相談履歴が有力な資料になります。
私が採用側で見てきた限り、退職後に「証拠がないので何も主張できない」となるケースは非常に多いです。退職を意識した時点で記録を残し始めることが、結果的に受給時期を早めます。
転居で通勤が困難になった場合
結婚や配偶者の転勤、事業所の移転などにより、通勤が著しく困難になって退職した場合も正当な理由に該当します。
目安として、往復の通勤時間がおおむね4時間以上になるケースが挙げられます。住民票や配偶者の転勤辞令、事業所移転の通知などが証明書類となります。
認定に必要な証明書類一覧
ケース別に必要な資料をまとめます。手続き当日に「持っていない」となると、認定が先送りになり受給も遅れます。
診断書・介護状況の証明書
- 病気やケガ:医師の診断書、通院履歴、傷病手当金の支給決定通知など
- 家族の介護:要介護認定通知書、医師の診断書、施設の入所証明など
- 転居:住民票、配偶者の転勤辞令、賃貸契約書など
タイムカードやメールなどの客観証拠
- 長時間労働:タイムカード、勤怠記録、業務メールの送信時刻、給与明細の残業時間
- ハラスメント:日時と内容の記録、メールやチャット、相談窓口への相談履歴
- 労働条件の相違:雇用契約書、労働条件通知書、実際の給与明細
書類がすべてそろっていなくても、まずは持っている資料を持参してハローワークに相談してください。どの資料が有効かは個別の事情によって変わるため、窓口で確認したほうが確実です。
離職票の退職理由に納得できないときの対処法
「会社が離職票に自己都合と書いてしまったから、もうどうにもならない」
そう考えて諦めてしまう方がいますが、これは正確ではありません。離職理由の最終的な判断権限を持っているのはハローワークです。
離職理由は本人が異議を申し立てられる
離職票には、会社が記載した離職理由に対して、離職者本人が異議の有無を記入する欄が設けられています。
会社の主張と自分の認識が違う場合は、ここで「異議あり」を選択し、自分の認識を記載します。異議が申し立てられると、ハローワークは会社側にも事実確認を行い、双方の主張と提出資料をもとに離職理由を判定します。
「離職票が届く前」でも相談できる
会社が離職票をなかなか発行しない、あるいは退職前から自己都合での処理を強く求められている場合は、離職票が手元に届く前でもハローワークに相談して構いません。
事前に事情を伝えておくことで、手続き当日の確認がスムーズになります。
離職票の異議申立欄の書き方
異議を申し立てる際は、事実を時系列で、感情を交えずに書くのが基本です。
避けたいのは、「ひどい扱いを受けた」「限界だった」といった主観的な表現だけで埋めてしまうことです。ハローワークが必要としているのは、いつ、誰が、何をしたのかという具体的な事実です。
記載例の考え方
たとえば長時間労働が理由であれば、「業務量が多かった」ではなく、「◯年◯月から◯月まで、月平均の時間外労働が◯時間に達していた。勤怠記録を添付する」と書きます。
ハラスメントであれば、「上司から暴言を受けた」ではなく、「◯月◯日、朝礼の場で上司から他の社員の面前で叱責を受けた。同席者は◯名」といった書き方です。
添付できる資料はすべて出す
記載欄のスペースは限られています。書ききれない場合は、別紙に経緯をまとめて添付して構いません。証拠資料も併せて提出しましょう。
ハローワーク窓口で伝えるべきポイント
窓口では、次の3点を整理して伝えると判断が早くなります。
- 退職を決断した直接の原因は何か
- その原因を裏づける資料は何を持っているか
- 会社側にその事実を認識していた人がいるか
特に3点目は見落とされがちですが、上司や人事に相談した記録がある場合、会社が事実を把握していた証拠になります。社内の相談窓口や産業医との面談記録があれば、必ず伝えてください。
会社と主張が食い違ったときの判断基準
会社が事実関係を否定した場合、ハローワークは双方の資料を照らし合わせて判断します。
このとき決め手になるのは、当事者の記憶ではなく客観的な記録です。会社側は勤怠データや人事記録を保有していますが、離職者側が何も持っていなければ、判断材料が会社の主張に偏ります。
逆に言えば、こちらに具体的な記録があれば、会社が「自己都合」と主張していても離職理由が変更される可能性は十分にあります。実際に、当初の記載から離職理由が覆るケースは珍しくありません。
なお、離職理由の判定に不服がある場合は、雇用保険審査官への審査請求という手続きも用意されています。ただし時間がかかるため、まずは窓口での丁寧な説明と資料提出を優先してください。
失業保険をすぐもらうための手続きの流れ
ここからは、実際の手続きを時系列で確認します。
受給開始が遅れる原因の大半は、制度そのものではなく「手続きが遅い」ことにあります。退職日から初回振込までの流れを事前に把握しておきましょう。
STEP1:離職票など必要書類をそろえる
まずは申請に必要なものを準備します。
- 雇用保険被保険者離職票(1・2)
- 個人番号確認書類(マイナンバーカードなど)
- 本人確認書類(運転免許証など)
- 証明写真2枚(規定サイズ)
- 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード
- 印鑑
- 特定理由離職者などを主張する場合は、その証明書類
離職票が届かないときの対処
離職票は退職後、会社を経由して手元に届きます。一般的には退職後10日から2週間程度ですが、会社の手続きが遅れて届かないケースもあります。
離職票を待っている間も待期期間は始まりません。届かない場合は、まず会社に発行状況を確認し、それでも進まなければハローワークに相談してください。事情によっては、離職票なしで仮手続きを進められる場合があります。
STEP2:ハローワークで求職の申込み
必要書類がそろったら、住所地を管轄するハローワークへ行きます。
ここで求職の申込みを行い、離職票を提出して受給資格の決定を受けます。この日が「受給資格決定日」となり、翌日から待期期間7日のカウントが始まります。
待期のカウントは退職日からではない
繰り返しになりますが、待期期間は退職日ではなく手続きをした日から数えます。
退職後に手続きを1ヶ月放置すれば、受給開始も丸ごと1ヶ月後ろにずれます。「すぐもらう」ためにもっとも効果的な行動は、離職票が届いたらすぐハローワークへ行くことです。
認定を主張するのはこのタイミング
特定理由離職者や特定受給資格者としての認定を求める場合、この受給資格決定の場が最初の勝負どころです。証明書類を持参し、退職の経緯を具体的に説明してください。
STEP3:雇用保険説明会に参加する
受給資格が決定すると、指定された日に開催される雇用保険説明会への参加を求められます。
ここで受給の仕組みや失業認定の手続きについて説明を受け、雇用保険受給資格者証と失業認定申告書が交付されます。この説明会への参加自体が、最初の求職活動実績として扱われる場合があります。
無断で欠席すると受給手続きが進まないため、必ず出席してください。
STEP4:失業認定日に活動実績を報告
その後は原則4週間に1度、指定された失業認定日にハローワークへ行き、失業状態にあることの認定を受けます。
このとき、前回の認定日から今回までの間に行った求職活動の実績を、失業認定申告書に記載して提出します。
必要な求職活動実績の回数
必要な実績回数は状況によって異なりますが、給付制限がある場合の初回認定までの期間は、通常より多くの実績を求められる運用が一般的です。管轄のハローワークで指示された回数を確認してください。
実績として認められる主な活動は次のとおりです。
- 求人への応募
- ハローワークでの職業相談、職業紹介
- ハローワークや自治体が実施するセミナーの受講
- 民間の転職エージェントでの職業相談
- 国家資格などの受験
求人サイトを「見るだけ」は実績にならない
よくある誤解ですが、求人サイトを閲覧しただけ、転職サイトに登録しただけでは実績になりません。
一方で、転職エージェントでの職業相談は実績として認められます。エージェントに登録してキャリア面談を受ければ、活動実績を確保しながら求人情報も得られるため、効率の良い方法です。
STEP5:初回振込までの日数の目安
失業の認定を受けると、通常5営業日前後で指定口座に基本手当が振り込まれます。
給付制限の有無別に、退職から初回振込までのおおよその流れを整理します。
| 段階 | 給付制限なし | 給付制限1ヶ月 |
|---|---|---|
| 退職から手続きまで | 2週間前後 | 2週間前後 |
| 待期期間 | 7日 | 7日 |
| 給付制限期間 | なし | 1ヶ月 |
| 初回認定日まで | 約3週間 | 待期・制限終了後 |
| 初回振込 | 手続きから約1ヶ月 | 手続きから約2ヶ月 |
1日でも早く受給するための準備のコツ
同じ制度のもとでも、準備次第で受給開始は数週間変わります。
- 退職前に離職票の発行時期を人事へ確認しておく
- 証明写真とマイナンバーカードを退職前に用意しておく
- 特定理由離職者を主張するなら、診断書などを退職前に取得しておく
- 離職票が届いた当日か翌日にハローワークへ行く
- 初回の認定日までに必要な求職活動実績を早めに消化する
制度上の「最短」は決まっていますが、そこにたどり着けるかは自分の段取りで決まります。
自己都合で失業保険を早くもらう際の注意点
早く受け取ることばかりに意識が向くと、かえって損をしたり、受給資格そのものを失ったりすることがあります。手続きを進める前に、次の4点を押さえておいてください。
給付制限中のアルバイトは事前申告が必要
給付制限期間中でも、アルバイトをすること自体は禁止されていません。収入が途切れる期間なので、短期の仕事で生活費を確保したいと考えるのは自然です。
ただし、働いた事実は必ず失業認定申告書に記載して申告する必要があります。申告を怠ると、後述する不正受給として扱われます。
働き方によっては「就職した」とみなされる
注意したいのは、労働時間や雇用形態によっては就職したと判断され、失業状態ではなくなる点です。
判断基準は管轄のハローワークによって運用が異なりますが、週20時間以上の勤務が続く場合や、雇用保険の被保険者資格を取得した場合は、受給が停止される可能性があります。
アルバイトを始める前に、勤務日数と1日あたりの労働時間を窓口に伝えて確認しておくのが確実です。
給付制限中の収入は減額対象になりにくい
給付制限期間中の労働は、支給対象期間中の労働とは扱いが異なります。
支給対象期間に入ってから働くと、収入額に応じて基本手当が減額または不支給となる日が出ます。一方、給付制限期間中はもともと支給がないため、この減額調整は発生しません。生活費を確保するなら、給付制限期間中のほうが調整の影響を受けにくいということです。
いずれにしても、申告を前提とした話です。
虚偽の申告は不正受給になる
「特定理由離職者として認定されたいから、実際にはなかった事情を伝える」
これは絶対に避けてください。ハローワークは会社側にも事実確認を行うため、食い違いは判明します。
ペナルティは支給停止だけではない
不正受給と認定されると、その日以降の支給がすべて停止されるほか、不正に受給した額の返還が求められます。さらに、その額の2倍に相当する納付が命じられる場合があります。返還額と合わせると、受給額の3倍を支払うことになる計算です。
悪質な場合は詐欺罪として告発される可能性もあります。
よくある「意図しない不正受給」
悪意がなくても不正受給と扱われるケースがあります。
- アルバイトをしたのに申告しなかった
- 内定が出ているのに申告せず認定を受けた
- 実際には行っていない求職活動を実績として記載した
- 自営業の準備を始めたことを申告しなかった
判断に迷ったら、隠さずに窓口へ相談してください。申告したうえで支給されないほうが、後から返還を求められるより圧倒的に損失は小さくなります。
早期就職なら再就職手当のほうが有利な場合も
失業保険を「長くもらう」ことを目的にすると、結果的に手元に残る金額が減ることがあります。
給付制限期間が終わるのを待って受給を始め、所定給付日数を消化してから就職するより、早期に再就職して再就職手当を受け取ったほうが、総額で上回るケースが多いためです。
再就職手当の支給条件
再就職手当は、所定給付日数の3分の1以上を残して安定した職業に就いた場合に支給されます。
支給額は、支給残日数が3分の2以上残っていれば基本手当日額の70%、3分の1以上であれば60%を、残日数分まとめて受け取れる仕組みです。
なお、給付制限期間中の就職でも、待期満了後1ヶ月を経過した後の就職であれば対象になります。ハローワークや職業紹介事業者の紹介による就職であれば、待期満了後1ヶ月以内でも対象となる場合があります。
「もらい切ってから転職」は機会損失が大きい
キャリアの観点でも、離職期間が長引くほど選考での説明は難しくなります。
私は採用責任者として書類を見てきましたが、離職期間そのものが直ちにマイナスになるわけではありません。ただ、明確な目的がないまま空白期間が半年を超えると、面接で説明を求められる場面は確実に増えます。
失業保険は再就職までの生活を支える制度であって、受給し切ることが目的ではありません。良い求人に出会えたなら、残日数を気にせず動いたほうが生涯収入では有利になることが多いはずです。
有料の申請サポート業者は利用前に確認を
近年、「失業保険や給付金を最大化します」とうたう有料の申請サポート業者が増えています。
これらのサービスの多くは、手続きの相談やアドバイスを行うもので、受給額の10%から15%程度、あるいは定額の手数料を請求します。
手続き自体は無料で自分でできる
前提として、失業保険の申請手続きに費用は一切かかりません。特定理由離職者の認定を求める場合も、離職理由に異議を申し立てる場合も、ハローワークの窓口で無料で相談できます。
書類の書き方が分からない、自分が該当するか判断できないという場合も、まずはハローワークに相談すれば足ります。
契約前に確認したい3つのポイント
それでも利用を検討する場合は、次の点を確認してください。
- 費用の総額と、支払いが発生するタイミングが明示されているか
- 受給を確約するような説明をしていないか(受給の可否を判断するのはハローワークです)
- 社会保険労務士など、業務として代理や書類作成を行える資格者が対応しているか
国民生活センターには、退職や給付金の支援サービスをめぐる相談が寄せられています。「必ずもらえる」「絶対に損しない」といった説明があった場合は、いったん立ち止まって判断してください。
まとめ:自己都合退職でも条件を満たせば失業保険は最短で受け取れる
最後に、この記事の要点を整理します。
- 自己都合退職の給付制限は原則1ヶ月で、過去5年以内に自己都合退職を繰り返している場合は3ヶ月
- 待期期間7日は退職日ではなく、ハローワークで手続きをした日から数える
- 給付制限をゼロにする方法は、特定理由離職者・特定受給資格者の認定、公共職業訓練の受講、教育訓練給付の対象講座の受講の4つ
- 病気、家族の介護、長時間労働、ハラスメント、転居による通勤困難は認定される可能性がある
- 離職理由を判断するのは会社ではなくハローワークで、離職票には本人の異議申立欄がある
- 証拠となる資料は、退職前に手元へ確保しておく
- アルバイトは必ず申告し、虚偽の申告は3倍相当の負担につながる
- 早期に再就職できるなら、再就職手当のほうが総額で有利になるケースが多い
「自己都合だから待つしかない」と思い込んだまま手続きを進めてしまうと、本来なら不要だった1ヶ月を待つことになります。逆に、自分の退職経緯を整理し、必要な資料をそろえて窓口で説明できれば、待期満了の翌日から受給が始まる可能性は十分にあります。
そしてもうひとつ。受給開始を早める最大の要因は、制度の抜け道ではなく手続きの速さです。離職票が届いたその日にハローワークへ行けるよう、証明写真や本人確認書類は退職前に準備しておいてください。
会社員、フリーランス、経営者と立場を変えながらキャリアを重ねてきた立場から言えば、失業保険はあくまで次の一歩を選ぶための時間を買う制度です。制度を正しく使って生活の不安を減らし、その時間を納得のいく転職活動に充てていただければと思います。
