再就職手当はもらわない方がいい?損する人と得する人の判断基準

「早く再就職が決まりそうだけど、再就職手当はもらわない方がいいって本当?」 「知恵袋を見ていたら『失業保険を満額もらった方が得』と書いてあって不安になった」

結論からお伝えすると、再就職手当を一律に「もらわない方がいい」と考えるのは誤りです。ただし、状況によっては受け取ることで結果的に損をするケースがあるのも事実で、その分かれ目を知らないまま申請してしまうと数十万円単位で受給額が変わることもあります。

この記事では、再就職手当をもらわない方がいいと言われる理由、損得のシミュレーション、もらわない方がいい人ともらった方がいい人の特徴、そして申請時の注意点までを整理して解説します。読み終える頃には、自分がどちらを選ぶべきかがはっきりしているはずです。

目次

再就職手当はもらわない方がいい?まず結論から

最初に、この記事の結論を先にお伝えします。細かい条件は後半で解説しますので、まずは全体像をつかんでください。

条件を満たすなら申請した方が得なケースが多い

再就職手当は、失業手当(雇用保険の基本手当)の支給残日数を一定以上残して安定した職業に就いた人に、残日数分の60〜70%相当額をまとめて支給する制度です。

「受け取ると失業手当が減る」と言われますが、正確には受け取らなかった場合の残日数も、再就職して働き始めた時点で受給できなくなります。失業手当は「失業している人」に支給されるものだからです。つまり、就職が決まった時点で残日数はどのみち使えなくなり、その一部を一時金として現金化できるのが再就職手当という位置づけになります。

このため、支給条件を満たしていて、かつ長く働くつもりの職場に決まったのであれば、申請しない理由はほとんどありません。申請を忘れると、単純に受け取れるはずのお金を放棄することになります。

もらわない方がいいのは短期離職の恐れがある人

一方で、「もらわない方がいい」と言われるのは主に次のような場面です。

  • 手当を早く受け取りたいがために、希望条件に合わない求人へ妥協して応募する
  • 入社後すぐに辞める可能性が高い職場に決めてしまう
  • 職業訓練など、他の制度を使った方が総額で有利になる

いずれも共通しているのは「急いで就職先を決めること自体のリスク」です。再就職手当の金額は、多くの場合で数十万円程度。対して、合わない職場に入って半年で辞めた場合の損失は、失われる収入と職歴の傷を考えれば比較になりません。採用側を経験した立場から言えば、短期離職の履歴は次の選考で必ず理由を問われます。

再就職手当は「早く決めるための動機づけ」ではなく、「納得して決めた結果としてもらえるボーナス」と捉えるのが正しい距離感です。

そもそも再就職手当とは?支給額の計算式

判断の前提として、制度の仕組みを簡単に押さえておきましょう。再就職手当は雇用保険の「就職促進給付」の一種で、早期の安定した再就職を後押しする目的で設けられています。

支給額の計算式は次のとおりです。

基本手当日額 × 支給残日数 × 給付率(60%または70%)

基本手当日額とは、失業手当として1日あたりに受け取る金額のことです。退職前6か月間の賃金をもとに算出されます。

支給残日数3分の2以上なら70%、3分の1以上なら60%

給付率は、就職日の前日時点で所定給付日数がどれだけ残っているかで変わります。

支給残日数給付率
所定給付日数の3分の2以上70%
所定給付日数の3分の1以上3分の2未満60%
所定給付日数の3分の1未満支給なし

たとえば所定給付日数90日の方であれば、60日以上残して就職すれば70%、30日以上60日未満なら60%が適用されます。残日数が3分の1を切ると1円も支給されないため、早く決まるほど有利になる設計です。

基本手当日額には上限額が設定されている

注意したいのが、再就職手当の計算に使う基本手当日額には上限が設けられている点です。上限額は年齢区分(60歳未満/60歳以上65歳未満)ごとに定められており、毎年8月1日に見直されます。

前職の給与が高かった方ほど、実際の基本手当日額よりも低い金額で計算される可能性があります。正確な金額は、ハローワークで受給資格決定時に交付される「雇用保険受給資格者証」に記載されているので、そちらで確認してください。

再就職手当をもらわない方がいいと言われる5つの理由

ここからは、否定的な意見が出てくる根拠を1つずつ検証します。それぞれ「本当に自分に当てはまるのか」を照らし合わせながら読み進めてください。

失業保険を満額受給するより総額が少なくなる

最も大きな理由がこれです。再就職手当は残日数の60〜70%相当額なので、単純に金額だけを比べれば、失業手当を所定給付日数いっぱいまで受け取った方が総額は多くなります。

たとえば基本手当日額6,000円、所定給付日数90日の方であれば、満額受給で54万円。一方、60日残して再就職した場合の再就職手当は「6,000円 × 60日 × 70%」で25万2,000円です。差額だけを見れば28万円以上少なく見えます。

ただし、この比較には大きな見落としがあります。満額受給するには、給付日数分だけ働かずに過ごす必要があるという点です。上の例で言えば、追加で受け取る28万円のために、就職を2か月遅らせることになります。

手当目当てで焦ると転職に失敗しやすい

給付率が70%になるのは残日数が3分の2以上あるときなので、「この線を割る前に決めなければ」という心理が働きやすい制度でもあります。

しかし、転職活動の期間はコントロールしきれません。求人との出会いにも選考の進み方にも波があり、締め切りを自分で設定すると、どうしても妥協が生まれます。年収、勤務地、仕事内容、社風のうち何を優先するかを整理しないまま「受かったところに行く」判断をしてしまうのが典型的な失敗パターンです。

数十万円の手当のために、その後何年も働く環境を選び損ねるのは割に合いません。手当は判断材料の1つであって、判断基準そのものにしないことが重要です。

受給すると支給残日数が大幅に減る

再就職手当を受け取ると、その原資となった日数分の失業手当を受給したものとして扱われます。

再就職手当に充当された日数は消化扱いになる

具体的には、給付率70%が適用された場合、支給残日数のうち70%に相当する日数が消化済みとなり、残る30%分だけが手元に残ります。60日残して再就職手当を受け取ったのであれば、42日分が消化され、残りは18日分という計算です。

この残り分は、受給期間内(原則として離職日の翌日から1年以内)に再び失業状態になれば受給できる可能性があります。ただし枠は大きく目減りしているため、「万一のときのセーフティネット」としては心もとない水準になります。

短期離職すると給付の空白期間が生まれる

再就職手当を受け取った後、短期間で退職した場合が最も注意すべきケースです。

前述のとおり残日数はほとんど消化されているうえ、再就職先での雇用保険の加入期間が短ければ、新たな受給資格も得られません。失業手当を受け取るには、原則として離職前2年間に被保険者期間が12か月以上(会社都合等の場合は1年間に6か月以上)必要だからです。

結果として、受け取れる給付がほとんどない状態で無職期間に入るという事態が起こり得ます。転職先に少しでも不安が残る場合は、この空白リスクを織り込んで判断すべきです。

振込まで1〜2カ月かかり手続きも煩雑

再就職手当は、就職したらすぐ振り込まれるわけではありません。就職先に「再就職手当支給申請書」の事業主証明欄を記入してもらい、ハローワークに提出したうえで審査を受ける必要があります。

審査ではハローワークから就職先へ在籍確認の連絡が入ることもあり、支給決定通知が届くまでにおおむね1か月前後、そこから振込までさらに日数を要します。入社直後の慌ただしい時期に書類のやり取りが発生する点を面倒に感じ、「申請しない」という選択をする方も一定数いるようです。

【損得比較】再就職手当をもらう場合ともらわない場合

「満額もらった方が得」という意見が正しいかどうかは、実際に数字を並べてみるとはっきりします。ここでは以下の条件で比較します。

  • 基本手当日額:6,000円
  • 所定給付日数:90日
  • 再就職先の月給:25万円(手取りではなく額面)
  • 比較期間:受給開始から90日間で統一

比較期間を揃えるのがポイントです。失業手当だけを比べると満額受給が有利に見えますが、実際には「働いていない期間の給与ゼロ」が同時に発生しているためです。

支給残日数を3分の2以上残して就職した場合

受給開始から30日目に再就職が決まり、支給残日数60日を残したケースです。所定給付日数90日に対して3分の2以上残っているため、給付率は70%が適用されます。

内訳金額
失業手当(30日分)18万円
再就職手当(6,000円×60日×70%)25万2,000円
給与(2か月分)50万円
90日間の合計93万2,000円

早く就職を決めるほど給付率が高くなり、なおかつ給与を受け取れる期間も長くなるため、この形が最も手元に残るお金が多くなります。

支給残日数が3分の1程度で就職した場合

受給開始から60日目に就職が決まり、支給残日数30日を残したケースです。3分の1以上3分の2未満に該当するため、給付率は60%になります。

内訳金額
失業手当(60日分)36万円
再就職手当(6,000円×30日×60%)10万8,000円
給与(1か月分)25万円
90日間の合計71万8,000円

手当そのものの金額は先ほどの半分以下になりますが、それでも受け取らない理由にはなりません。なお、残日数が3分の1を下回った時点で対象外となるため、活動が長引きそうな場合は「もらえない前提」で計画を立てておくと落ち着いて選考に臨めます。

失業保険を満額もらってから就職した場合

90日分をすべて受給しきってから就職するケースです。

内訳金額
失業手当(90日分)54万円
再就職手当0円
給与0円
90日間の合計54万円

失業手当の金額だけを見れば3パターンで最も多いものの、総額では最も少なくなります。「満額もらった方が得」という意見が成立するのは、給与という最大の収入源を計算に入れていない場合だけ、ということがわかります。

もちろん、資格取得や療養など、その期間を使う明確な目的があるなら話は別です。判断すべきは「金額として損か得か」ではなく、「空いた時間を何に使うのか」だと言えます。

比較で見落としがちな3つのコスト

上の試算にも含めていない要素があります。判断の精度を上げるために、次の3点も押さえておいてください。

無職期間中の社会保険料と住民税の負担

会社を辞めると、健康保険と年金は自分で手続きして負担することになります。国民年金保険料は月額1万7千円前後、国民健康保険料は前年の所得に応じて決まるため、前職の年収が高かった方ほど高額になります。任意継続を選んだ場合も、これまで会社が負担していた分が自己負担に変わります。

さらに住民税は前年の所得に対して課税されるため、無職でも納付書が届きます。無職期間が1か月延びるごとに、これらの固定支出が積み上がる点は見逃せません。

求人の入れ替わりと選考長期化のリスク

「満額もらってから就職すればいい」という計画は、給付終了と同時に希望の求人が見つかる前提に立っています。しかし実際には、良い求人ほど早く募集が締め切られますし、選考から内定、入社までには1か月以上かかることも珍しくありません。

採用する側の視点で言えば、離職期間が長引くほど「なぜこの期間、決まらなかったのか」を確認したくなります。明確に説明できる理由があれば問題ありませんが、単に給付を待っていたという状態は、選考でプラスに働きません。

就業促進定着手当による上乗せ分

見落とされがちですが、再就職手当を受け取った方だけが申請できる上乗せ制度があります。それが就業促進定着手当です。

再就職先に6か月以上勤務し、その6か月間の賃金が離職前の賃金より低かった場合に、低下した差額分をまとめて受け取れます。上限は基本手当の支給残日数の20%相当額です。

重要なのは、再就職手当を受給していることが申請の前提である点です。再就職手当を申請しなかった場合、この制度も使えません。転職で年収が下がる見込みがあるなら、申請しない選択は二重に損をすることになります。

再就職手当をもらわない方がいい人の特徴4つ

ここまでは「基本的に申請した方が有利」という結論でしたが、例外もあります。次のいずれかに当てはまる方は、慎重に考える価値があります。

再就職先に不安が残り早期離職の可能性がある人

最も注意すべきタイプです。面接時の説明と実態が違いそう、労働条件通知書の内容に引っかかる点がある、社内の雰囲気に違和感があるといった不安を抱えたまま入社すると、短期離職につながりやすくなります。

再就職手当を受け取ってしまうと支給残日数の大半が消化され、その職場を短期間で辞めた場合には新たな受給資格も得にくく、給付のない無職期間に突入するおそれがあります。

職業訓練や資格取得に時間をかけたい人

キャリアチェンジを目指していて、公共職業訓練の受講を検討している方も該当します。訓練を受講すると受講期間中は失業手当が延長されて支給され、受講手当や通所手当が加算される仕組みがあるためです。

未経験分野へ挑戦するのであれば、目先の一時金より、スキルを身につけてから条件の良い求人に応募する方が生涯年収では有利になることもあります。訓練の申込時期や選考日程はハローワークごとに異なるので、早めに窓口で相談してください。

そもそも支給条件を満たしていない人

そもそも対象外であれば、悩む必要はありません。再就職手当を受給するには、主に次の条件をすべて満たす必要があります。

  • 就職日の前日時点で、支給残日数が所定給付日数の3分の1以上ある
  • 待期期間(7日間)が満了した後に就職している
  • 1年を超えて勤務することが確実である(有期契約の場合は更新見込みなど)
  • 離職した前の会社と、資本・資金・人事・取引面で密接な関わりがない
  • 受給資格決定前から採用が内定していた会社への就職ではない
  • 過去3年以内に再就職手当や常用就職支度手当を受給していない
  • 再就職先で雇用保険の被保険者になっている
  • 給付制限がある場合、待期満了後1か月以内はハローワークまたは職業紹介事業者の紹介による就職である

特に見落としやすいのが「過去3年以内の受給歴」と「離職前の会社との関係性」です。グループ会社や取引先への転職は対象外になる場合があるため、内定が出た段階でハローワークに確認しておくと安心です。

契約期間が短く長期勤務の見込みがない人

短期の有期契約や、最初から数か月で終わることが決まっている仕事に就く場合も対象になりません。再就職手当は「1年を超えて勤務することが確実」であることが前提だからです。

こうしたケースでは、就職した日について失業手当が支給されない扱いとなる一方、残日数は受給期間内であれば持ち越せます。短期就労を挟みながら本命の転職活動を続ける予定なら、ハローワークに就労状況を正しく申告したうえで、受給期間内に本命の就職を決める形を目指しましょう。

逆に再就職手当をもらった方がいい人の特徴3つ

一方、次に当てはまる方は迷わず申請すべきです。

希望条件に合う職場から内定が出た人

年収、仕事内容、勤務地、働き方といった軸で納得できる会社に決まったのであれば、申請しない理由はありません。長く働くつもりの職場なら、短期離職による給付の空白リスクも実質的に発生しないためです。

判断に迷うときは、「手当がもらえなくてもこの会社に入りたいか」と自問してみてください。答えがイエスなら、手当は純粋な上乗せとして受け取れば済む話です。

支給残日数を多く残して就職が決まった人

支給残日数が所定給付日数の3分の2以上あるうちに決まった方は、給付率70%が適用されるため受給額が大きくなります。所定給付日数が長い方(会社都合退職や勤続年数が長い方)ほど、金額のインパクトは大きくなります。

たとえば所定給付日数150日、基本手当日額7,000円の方が120日を残して就職した場合、受け取れる金額は58万8,000円です。これを手続きの面倒さだけで見送るのは、あまりに惜しい判断だと言えます。

転職で前職より収入が下がる見込みの人

異業種への挑戦や、勤務条件を優先した転職では、一時的に年収が下がることがあります。この場合こそ、再就職手当と就業促進定着手当の組み合わせが効いてきます。

再就職手当で残日数分の60〜70%を受け取り、6か月勤務した後に賃金低下分を就業促進定着手当として受け取る流れです。繰り返しになりますが、定着手当は再就職手当の受給が前提です。収入減を見込んでいるなら、入口の申請を必ず済ませておいてください。

再就職手当で損しないための注意点と申請の流れ

申請すると決めたら、あとは条件を落とさずに手続きを進めるだけです。特につまずきやすいポイントを4つ整理します。

給付制限中の1カ月はハローワーク紹介が必須

自己都合で退職した方には給付制限期間が設けられます。この期間中に再就職する場合、待期期間(7日間)が満了した日の翌日から1か月以内に就職したときは、ハローワークまたは職業紹介事業者(許可を受けた転職エージェントなど)の紹介による就職でなければ再就職手当の対象になりません

つまり、転職サイトからの自己応募や、知人の紹介で入社したケースは対象外になるということです。1か月を超えた後の就職であれば、自己応募でも問題ありません。

給付制限中に転職活動をするなら、次のどちらかを意識しておきましょう。

  • 応募の窓口をハローワークや職業紹介事業者に寄せておく
  • 自己応募が中心なら、入社日が1か月を過ぎるよう調整する

内定後に入社日を1〜2週間ずらせるかどうかで、受給の可否が変わることがあります。内定を受諾する前にハローワークで自分の該当日を確認しておくと確実です。

申請期限は就職日の翌日から1カ月以内

再就職手当の申請期限は、就職日の翌日から1か月以内です。入社直後の忙しい時期と重なるため、後回しにして期限を過ぎてしまう方が少なくありません。

前職と関連の深い会社への就職は対象外

再就職先が、離職前の会社と資本・資金・人事・取引の面で密接な関係にある場合、再就職手当は支給されません。グループ会社、親会社や子会社、主要な取引先などが該当します。

また、受給資格の決定(ハローワークでの最初の手続き)より前に採用が内定していた会社への就職も対象外です。在職中に転職先が決まっていた場合は該当するため、注意してください。

申請から振込までの手順と必要書類

実際の流れは次のとおりです。

  1. 内定後、ハローワークに就職の報告をする 採用証明書を提出し、失業認定を受けます。この時点で「再就職手当支給申請書」を受け取ります。
  2. 再就職先に事業主証明欄を記入してもらう 入社日、雇用期間、雇用保険の加入状況などを記載してもらいます。入社時の書類提出とあわせて依頼するとスムーズです。
  3. ハローワークへ提出する 雇用保険受給資格者証を添えて、就職日の翌日から1か月以内に提出します。郵送での受付に対応している所もあります。
  4. 審査を受ける 在籍状況の確認などが行われます。おおむね1か月前後かかります。
  5. 支給決定通知を受け取り、振込を待つ 通知後、指定口座に振り込まれます。

必要書類は主に「再就職手当支給申請書」「雇用保険受給資格者証」で、ケースによって出勤簿や賃金台帳の写しを求められることがあります。管轄のハローワークによって運用が異なる部分もあるため、受給資格決定時にもらう「しおり」を確認しておいてください。

再就職手当をもらわない方がいいか迷う人のよくある質問

最後に、判断に迷いやすいポイントをQ&A形式でまとめます。

もらった後すぐ辞めたら返還が必要?

原則として、返還は必要ありません。再就職手当は「就職日の時点で1年を超えて勤務することが確実であったか」で判断されるため、結果的に早期退職に至ったとしても、遡って返還を求められることは通常ありません。

ただし、最初から短期で辞めるつもりで申請していた場合など、虚偽の申告があったと判断されれば不正受給として扱われ、返還に加えて追加の納付を求められます。この点は明確に線引きされていると考えてください。

返還がないとはいえ、支給残日数の大半を消化した状態で無職になるリスクは残ります。金銭的な損得より、その状況に耐えられるかどうかで判断すべき問題です。

申請しなかった残日数はどうなる?

就職して失業状態でなくなった時点で、失業手当の支給は止まります。申請しなかったからといって残日数がそのまま温存されるわけではありません。

残日数は受給期間内(原則として離職日の翌日から1年間)に再び失業状態になれば受給できる可能性がありますが、その前提は「受給期間が残っていること」と「失業状態にあること」です。就職して1年近く経ってから退職した場合、受給期間そのものが終了しているケースがほとんどです。

つまり、申請しないという選択は、多くの場合で単に権利を放棄することを意味します。

再就職手当は次回の失業保険に影響する?

再就職手当を受け取ったこと自体が、次に失業手当を受給する際の金額を減らすことはありません。次回の受給資格は、再就職先での被保険者期間と離職理由をもとに新しく判定されます。

ただし、過去3年以内に再就職手当を受給していると、次の再就職手当は支給されません。就職と離職を短いスパンで繰り返す可能性がある方は、この3年ルールを念頭に置いておく必要があります。「今回は見送って、次回に取っておく」という判断が成り立つのは、このケースくらいです。

アルバイトや個人事業主でも受給できる?

アルバイトやパートでも、1年を超えて勤務することが確実で、雇用保険の被保険者となる働き方であれば対象になります。逆に、雇用保険に加入しない短時間勤務や、契約期間が明らかに短いものは対象外です。

自ら事業を開始した場合も、事業の継続が1年を超えて確実であると認められれば対象になります。開業届や事業計画に関する書類の提出を求められるのが一般的です。フリーランスとして独立する予定の方も、諦めずにハローワークで相談してみてください。

まとめ:再就職手当はもらわない方がいいかを状況別に判断しよう

再就職手当をもらわない方がいいかどうかは、置かれた状況によって答えが変わります。この記事の要点を整理します。

  • 就職した時点で失業手当の残日数は使えなくなるため、条件を満たすなら申請した方が得なケースが多い
  • 「満額もらった方が得」という意見は、働いた場合の給与を計算に入れていない
  • 給付率は支給残日数3分の2以上で70%、3分の1以上で60%。3分の1を切ると対象外
  • もらわない方がいいのは、早期離職の不安がある人や職業訓練を選ぶ人など限られたケース
  • 転職で収入が下がる見込みがあるなら、就業促進定着手当のためにも申請は必須
  • 給付制限中の最初の1か月は、ハローワーク等の紹介による就職でなければ対象外

会社員、フリーランス、経営者、採用責任者と立場を変えながらキャリアを見てきた経験から申し上げると、再就職手当は転職先を選ぶ基準にしてはいけないというのが一番大事な原則です。数十万円は決して小さい額ではありませんが、これから何年も働く環境を決める判断材料としては軽すぎます。

まずは納得できる転職先を選ぶ。そのうえで条件を満たしていたら、手続きを面倒がらずに申請する。この順番さえ守っていれば、「もらわない方がよかった」と後悔することはまずありません。

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この記事を書いた人

木本旭洋のアバター 木本旭洋 株式会社イールドマーケティング代表取締役

株式会社イールドマーケティング代表。大手広告代理店でアカウントプランナー、スタートアップで広告部門のマネージャーを経験後、2022年に当社を創業。AI/Webマーケティング支援を得意としている。会社員(大手とスタートアップ)/フリーランス/経営者/採用責任者すべて経験しておりキャリア情報も発信。

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