病気やケガで会社を長く休むことになったとき、「傷病手当金をもらうには有給を先に使い切らないといけないのでは」と考える方は非常に多いです。
結論から言うと、有給を使い切る必要はありません。傷病手当金の支給条件に「有給の残日数」は一切関係なく、有給が20日残っていても申請できます。
この記事を読めば、自分の状況で有給と傷病手当金のどちらを先に使うべきか、判断できるようになります。
傷病手当金に有給を使い切る必要はない
まず、最も多い誤解から解消します。
有給の残日数は支給条件に関係ない
傷病手当金は健康保険から支給される給付で、その支給要件に「有給休暇を消化していること」という項目はありません。
支給の可否を分けるのは、有給が残っているかどうかではなく、休んだその日に給与が支払われているかどうかです。
つまり、有給を20日残したまま欠勤して休職に入っても、条件さえ満たしていれば傷病手当金は支給されます。会社から「有給を全部使ってからでないと申請できない」と言われた場合、それは制度上の決まりではなく、その会社の運用方針にすぎません。
有給を取得した日は傷病手当金が出ない理由
有給を使い切る必要はない一方で、有給と傷病手当金は同じ日に併給できません。
健康保険法では、休んだ日について事業主から報酬を受けている場合は傷病手当金を支給しないと定められています。有給休暇は給与が支払われる休暇なので、この「報酬を受けている日」に該当します。
| その日の扱い | 給与 | 傷病手当金 |
|---|---|---|
| 有給休暇 | 支払われる | 支給されない |
| 欠勤・休職(無給) | 支払われない | 支給される |
すでに給与で生活が補償されている日に、重ねて健康保険から給付する必要はないという考え方です。
給与が傷病手当金より少ない場合は差額が出る
例外として、休職中に会社から一部の給与や手当が支払われていて、その金額が傷病手当金の日額を下回る場合には、差額が支給されます。
会社独自の休職給付制度がある場合は、この差額支給が受けられるかどうかを健康保険組合に確認してください。
傷病手当金がもらえる4つの支給条件
有給の残日数ではなく、次の4つを満たしているかどうかが判断基準です。
業務外の病気やケガであること
仕事中や通勤中の負傷は労災保険の対象となるため、傷病手当金は使えません。私生活での病気やケガ、業務が直接の原因と認定されていないうつ病などの精神疾患が対象になります。
美容整形など、療養とは言えない目的での休みは対象外です。
医師に労務不能と判断されていること
自分の判断ではなく、医師が「これまでの仕事に就くことができない」と認めている必要があります。申請書には医師の意見を記入する欄があり、そこで証明を受けます。
判断の基準になるのは、あくまで従事していた仕事の内容です。軽作業ならできる状態でも、元の業務に戻れないのであれば労務不能と認められる余地があります。
連続する3日間の待期が完成していること
休み始めてから連続する3日間は「待期期間」と呼ばれ、この3日間に傷病手当金は支給されません。4日目以降が支給対象になります。
重要なのは、この3日間は有給休暇でも土日祝の公休日でも成立するという点です。有給を充てても待期は進みます。
休んだ日に給与の支払いがないこと
4日目以降について、給与が支払われていない日が支給対象です。有給を使っている間は支給されず、有給が終わって無給になった日から支給が始まります。
なお、傷病手当金の受給要件に被保険者期間の長さは含まれていません。入社して間もない方でも、健康保険の被保険者であれば対象になります(退職後も受け取り続ける場合のみ、1年以上の被保険者期間が必要です)。
傷病手当金と有給はどっちが得か
条件を確認したうえで、次に考えるのが「どちらを先に使うか」です。
1日あたりの金額は有給のほうが多い
傷病手当金の日額は、次の式で計算します。
1日あたりの金額 = 支給開始日以前12か月の標準報酬月額の平均 ÷ 30 × 2/3
つまり、おおよそ給与の3分の2です。
一方、有給休暇を取得した日は通常の給与が満額支払われます。1日単位で比べれば、有給のほうが受け取れる金額は多くなります。
この点だけを見れば「有給を先に使うほうが得」と結論づけたくなりますが、実際はそれほど単純ではありません。総額で判断する必要があります。
月収30万円で比較したシミュレーション
月収30万円(標準報酬月額30万円)の方が、1か月(勤務日20日分)休んだケースで比較します。
| 項目 | 有給休暇 | 傷病手当金 |
|---|---|---|
| 1日あたりの金額 | 約15,000円 | 約6,667円 |
| 20日分の総額 | 約30万円 | 約13.3万円 |
| 税金 | 課税される | 非課税 |
| 社会保険料 | 控除される | 在職中は自己負担が必要 |
額面では有給が倍近くになります。
ただし有給は給与なので所得税と住民税がかかり、社会保険料も差し引かれます。傷病手当金は非課税です。手取りで比較すると、差は額面ほどには開きません。
それでも1日単位では有給が有利であることに変わりはありません。判断を分けるのは、休む期間の長さです。
有給を優先したほうがいい人
次のようなケースでは、有給を先に使うほうが合理的です。
休む期間が数日から2週間程度で収まる見込み
短期の入院や検査、軽い骨折など、療養期間が読める場合です。有給の日数で十分にカバーできるなら、満額もらえる有給を使ったほうが手取りは増えます。
とくに休みが3日以内で終わる場合、待期期間しか経過しないため傷病手当金は1円も出ません。この場合は有給一択です。
有給の有効期限が近づいている
有給は付与から2年で時効消滅します。使わないまま消える分があるなら、休職に入る前に消化しておくほうが無駄になりません。
退職が決まっている
退職日が決まっていて、その後に有給を持ち越せない場合は、退職前に消化しておかないと権利が失われます。この場合の注意点は後述します。
傷病手当金を優先したほうがいい人
一方、次のようなケースでは、有給を温存して先に傷病手当金を受け取るほうが有利です。
療養が1か月以上に及ぶ見込み
うつ病などの精神疾患、がん治療、大きな手術後のリハビリなど、回復に時間がかかる病気の場合です。
有給は最大でも40日程度しか保有できません。療養がそれを超えるなら、いずれ有給は尽きます。先に使い切ってしまうと、その後の長い期間を傷病手当金だけで乗り切ることになり、復職時に有給がゼロという状態で戻ることになります。
復職後の通院が想定される
治療が終わっても、定期的な通院や体調管理のための休みが必要になるケースは少なくありません。有給を残しておけば、復職後に半休や1日単位で使えます。
採用や労務の現場を見てきた立場から言うと、復職直後にフルタイムで走り続けられる人はほとんどいません。有給が数日残っているかどうかで、復職後の安定感は大きく変わります。
直近12か月の残業代が多かった
傷病手当金の計算は標準報酬月額をもとにするため、残業代が多かった時期が反映されていれば日額が高くなります。この場合、有給との差が縮まるため、有給を温存する判断がしやすくなります。
2/3(H2③・H2④)です。
有給を使い切るまでの流れと切り替えのタイミング
有給と傷病手当金は併給できませんが、順番に使うことで無給の期間をなくせます。ここでは実際の切り替え方を整理します。
待期3日間に有給を充てて無給期間をなくす
最も効果的なのが、待期期間の3日間に有給を充てる方法です。
待期期間の3日間は、どんな条件でも傷病手当金が支給されません。ここを欠勤にすると完全に無給になりますが、有給を充てれば給与が満額支払われます。
| 休み始めからの日数 | 有給を充てた場合 | 欠勤にした場合 |
|---|---|---|
| 1日目から3日目(待期) | 給与が満額支給 | 無給 |
| 4日目以降 | 傷病手当金 | 傷病手当金 |
月収30万円の方であれば、3日分でおよそ4.5万円の差になります。有給が残っているなら、まずここに充てるのが基本戦略です。
待期は有給でも公休でも完成する
待期期間は「労務不能で休んだ日」が連続3日あれば成立します。この3日間の性質は問われません。有給休暇でも、土日祝の公休日でも、欠勤でも同じように待期としてカウントされます。
金曜日から休み始めた場合、金曜に有給を使い、土日が公休であれば、それだけで待期3日が完成します。この場合、有給の消費はわずか1日で済みます。
休み始める曜日を選べる状況なら、この点を意識するだけで有給の消費を抑えられます。
3日間が連続していないと成立しない
注意したいのは、待期は連続していなければ成立しないという点です。
たとえば2日休んで1日出勤し、また2日休んだ場合、待期はリセットされて最初から数え直しになります。体調が不安定な時期に無理をして出勤すると、待期がいつまでも完成せず、支給開始が遅れます。
医師から休むよう言われているのであれば、中途半端に出勤せず、連続して休むほうが結果的に有利です。
有給を使い切った翌日から傷病手当金に切り替わる
待期が完成したあと、4日目以降も有給を使い続けることは可能です。その場合、有給を使っている間は給与が支払われるため傷病手当金は支給されません。
有給がなくなり、欠勤または休職で無給になった日から、傷病手当金の支給が始まります。
| 期間 | 状態 | 収入 |
|---|---|---|
| 待期3日間 | 有給 | 給与(満額) |
| 4日目以降 | 有給が残っている間 | 給与(満額) |
| 有給消化後 | 欠勤・休職 | 傷病手当金(約3分の2) |
ここで押さえておきたいのは、切り替わるのは「休んだ日数」ではなく「その日の給与の扱い」だという点です。有給が尽きた日を境に、自動的に対象が切り替わります。
申請は無給期間が発生してから行う
傷病手当金の申請書には、事業主が賃金の支払い状況を記入する欄があります。無給の日が発生していないと申請できないため、有給を使っている間は申請自体ができません。
有給が尽きてから、1か月ごとにまとめて申請するのが一般的な流れです。
半休や時間単位有給を使った日の扱い
半休や時間単位の有給を取得した日は、判断が分かれます。
その日に一部でも労務に服していれば労務不能とは認められないため、傷病手当金の対象外になるのが原則です。半日勤務して半日休んだ日は、支給されないと考えてください。
一方、1日休んでいるものの半日分の有給として処理されている場合など、実態によっては支給対象になることもあります。運用は健康保険組合によって異なるため、判断に迷う場合は加入先に確認するのが確実です。
いずれにしても、休職に入る局面では日単位で休むほうが手続きはシンプルになります。
会社への申し出と休職手続きの進め方
制度を理解していても、会社にどう伝えるかで詰まる方は少なくありません。
診断書を先に用意する
まず医師の診断書を取得してください。「療養のため何日間の休養を要する」といった記載があれば、会社側も休職の手続きを進めやすくなります。
診断書があるかどうかで、会社の対応スピードは明確に変わります。口頭で「体調が悪い」と伝えるだけでは、会社は正式な休職として扱えません。
有給を使うか欠勤にするかは自分で選べる
有給休暇をいつ使うかは、労働者が指定できる権利です。会社が一方的に「まず有給を全部使え」と決めることはできません。
ただし、就業規則で「休職に入る前に有給を消化する」と定めている会社もあります。この場合はその運用に従うことになりますが、規則に明記がなければ、傷病手当金を先に受け取る選択も可能です。
休職期間と復職条件を確認しておく
会社に申し出る際は、あわせて次の点を確認してください。
- 就業規則で定められた休職可能期間
- 休職中の社会保険料の支払い方法
- 復職の判断基準と手続き
経営側の立場から言うと、休職の相談で最も困るのは「いつ戻れるか分からないまま連絡が途絶えること」です。診断書と、次回の受診予定だけでも共有しておくと、会社側も体制を組めるため、結果的に本人が戻りやすい環境になります。
有給を使い切ると損するケースに注意
1日あたりの金額では有給が有利ですが、有給を先に使い切ったことで後から不利になるケースがあります。
療養が長引くと有給が足りなくなる
有給休暇は年間で最大20日付与され、前年度の繰り越しを含めても保有できるのは最大40日程度です。
うつ病の療養は数か月から1年に及ぶことも珍しくありません。がん治療や大きな手術後のリハビリも同様です。
40日は勤務日ベースでおよそ2か月分にすぎません。療養がそれを超えることが見込まれるなら、有給を先に使い切っても、結局その後は傷病手当金だけで生活することになります。
支給期間は通算1年6か月で頭打ちになる
傷病手当金は、支給開始日から通算して1年6か月が上限です。
ここで重要なのは「通算」という点です。途中で復職して支給が止まった期間はカウントされず、実際に支給を受けた日数を積み上げて1年6か月に達するまで受け取れます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 支給期間 | 支給開始日から通算1年6か月 |
| 復職期間の扱い | 支給されない期間はカウントしない |
| 上限到達後 | 同一傷病では再び受給できない |
この上限は、有給を先に使っても後に使っても変わりません。つまり、有給を先に消化して傷病手当金の開始を遅らせても、受け取れる傷病手当金の総量が減るわけではないという点は押さえておいてください。
問題になるのは、1年6か月を使い切ったあとです。それでも復職できない場合、収入はゼロになります。その局面で有給が1日も残っていないと、通院のための休みすら確保できません。
復職後の通院や体調不良に備えられない
有給を使い切って復職した場合、次に体調を崩したときは即座に欠勤扱いになります。
復職後しばらくは、通院や体調の波で休む日が出るのが普通です。有給が数日残っていれば、給与を減らさずに休めます。ゼロだと、休むたびに欠勤控除が発生し、精神的な負担も増します。
採用と労務の現場を見てきた経験では、復職後の再休職はかなりの割合で起こります。「戻ってからの数か月」を想定して有給を数日残しておくことは、金額以上に意味があります。
有給の時効は2年で消滅する
一方で、有給を温存しすぎるのも得策ではありません。
有給休暇は付与された日から2年で時効消滅します。残しておいても、使わなければ消えてしまいます。
| 判断のポイント | 有給を先に使う | 有給を残す |
|---|---|---|
| 療養が短期 | 適している | 不要 |
| 療養が長期 | 手取りは増えるが復職後に困る | 適している |
| 時効が近い有給がある | 消化を優先 | 消えるだけ |
| 退職が決まっている | 消化を優先 | 権利が失われる |
現実的な着地点は、時効が近い分は消化し、復職後に備えて数日から1週間程度は残しておく形です。すべて使い切るか、すべて残すかの二択で考える必要はありません。
残り1/3(H2⑤・H2⑥・まとめ)です。
退職前に有給を使い切るときの注意点
退職を前提に有給を消化する場合、進め方を誤ると退職後の傷病手当金が受け取れなくなります。ここが最も事故の多い論点です。
前提として、退職後も傷病手当金を受け取り続けることを「資格喪失後の継続給付」と呼びます。これは退職後に新たに始まる給付ではなく、在職中に発生した受給権をそのまま引き継ぐ仕組みです。そのため、条件は退職日までにすべて満たしておく必要があります。
退職日に出勤すると継続給付が受けられない
継続給付の条件として、退職日に仕事を休んでいることが求められます。
退職日に出勤して労務に服したと判断されると、その時点で「労務不能ではなかった」とみなされ、退職日の翌日以降の傷病手当金は支給されません。
挨拶や引き継ぎも出勤とみなされる
最後の日に挨拶へ行く、私物を取りに行くついでに軽い引き継ぎをする、といった行動が出勤扱いになるおそれがあります。在宅での作業も同様です。
長期間休職して傷病手当金を受け取ってきた方が、最終日に顔を出したせいで残りの給付を失うケースは実際に起きています。挨拶や返却物のやり取りは、退職日より前か、退職後に郵送で済ませてください。
最後の数日は完全に休む
安全策として、退職日を含む最後の数日間は一切出勤しない形にしておくのが確実です。その数日が有給でも、公休でも、欠勤でも問題ありません。重要なのは労務に服していないことです。
退職日を有給にしても継続給付は受けられる
「退職日に有給を使うと給与が出るから、継続給付の条件を満たさないのでは」と心配される方がいますが、有給休暇の取得は出勤にはあたりません。
退職日に有給を取得していても、労務不能の状態が続いていて他の条件を満たしていれば、継続給付は受けられます。有給によってその日の給与が支払われるため、退職日当日分の傷病手当金は支給されませんが、翌日以降の給付には影響しません。
| 退職日の過ごし方 | 継続給付 |
|---|---|
| 有給休暇を取得 | 受けられる |
| 欠勤・休職 | 受けられる |
| 公休日 | 受けられる |
| 出勤(在宅ワーク含む) | 受けられない |
したがって、退職前に有給を消化する場合は、有給の最終日を退職日に合わせる形で問題ありません。むしろ、退職までの期間を有給で埋めておけば、出勤を求められる余地がなくなるという意味で安全です。
被保険者期間が継続して1年以上必要
継続給付には、退職日までに健康保険の被保険者期間が継続して1年以上あることという条件があります。
ここでいう被保険者期間には、国民健康保険や任意継続被保険者だった期間は含まれません。転職を挟んでいる場合も、健康保険の加入が途切れていなければ通算できます。
入社1年未満で退職する場合、在職中は傷病手当金を受け取れても、退職した時点で給付は打ち切られます。この条件だけは後から満たすことができないため、退職日の設定を考える段階で必ず確認してください。
待期3日間は在職中に完成させておく
継続給付を受けるには、退職日の時点で傷病手当金を受給しているか、受給できる状態である必要があります。
受給できる状態とは、待期3日間が完成し、医師に労務不能と判断されている状態を指します。この待期は在職中に終えておかなければなりません。
有給を消化してから退職する場合、有給期間中に待期が完成していれば問題ありません。逆に、退職直前まで出勤していて、退職日だけ休んだような状態では待期が完成せず、継続給付は受けられません。
退職を視野に入れて療養に入るなら、少なくとも退職日を含む4日間は連続して休んでおくことが必要になります。
傷病手当金と有給に関するよくある疑問
最後に、判断に迷いやすいポイントをまとめます。
有給を使い切ってから申請しても間に合う?
間に合います。傷病手当金の時効は、支給対象となる日の翌日から2年です。
有給を消化している間は申請できないため、有給が尽きて無給の日が発生してから申請することになります。無給になった月の分を、翌月以降にまとめて申請する流れが一般的です。
ただし、申請書には医師の証明が必要で、記入してもらう際に文書料がかかります。あまり長期間ためこむと、まとめて記入してもらえない場合もあるため、1か月ごとに申請するほうが確実です。
会社に有給消化を求められたら断れる?
有給休暇をいつ取得するかは労働者が指定できる権利であり、会社が一方的に消化を強制することは原則できません。
ただし、就業規則で「私傷病で休む場合は有給を優先して充当する」と定めている会社もあります。この場合はその定めに従うことになるため、まず就業規則を確認してください。
規則に明記がないにもかかわらず消化を強く求められる場合は、傷病手当金を先に受け取りたい旨と、その理由(復職後に備えて有給を残したい)を伝えれば、多くの会社は応じます。会社側にとっても、有給を使われるより休職扱いにするほうが人件費の面で負担が軽くなるためです。
傷病手当金に税金や社会保険料はかかる?
傷病手当金は非課税です。所得税も住民税もかからず、確定申告で申告する必要もありません。
一方、社会保険料は休職中も発生します。給与が支払われないため天引きができず、会社に振り込むなどの方法で自己負担することになります。
| 項目 | 有給休暇 | 傷病手当金 |
|---|---|---|
| 所得税・住民税 | かかる | かからない |
| 社会保険料 | 給与から控除 | 別途負担が必要 |
| 支給元 | 会社 | 健康保険 |
社会保険料の負担方法は会社ごとに異なるため、休職に入る前に人事や総務へ確認しておくと、後から高額な請求に驚かずに済みます。
有給と傷病手当金の差額はもらえる?
有給を取得した日については、原則として差額の支給はありません。有給は通常の給与が満額支払われるため、傷病手当金の日額を上回るからです。
差額支給が発生するのは、会社独自の休職手当など、傷病手当金の日額を下回る報酬が支払われている場合です。この場合、傷病手当金との差額が支給されます。
まとめ:傷病手当金は有給を使い切る前でも申請できる
要点を整理します。
- 傷病手当金の支給条件に有給の残日数は関係なく、使い切る必要はない
- 有給を取得した日は給与が出るため、傷病手当金は支給されない
- 1日あたりの金額は有給が多いが、療養が長引くなら有給は温存したほうがよい
- 待期3日間に有給を充てれば無給期間をなくせる
- 有給を使い切った翌日から傷病手当金に切り替わる
- 支給期間は支給開始日から通算1年6か月が上限
- 退職を伴う場合、退職日に出勤すると継続給付が受けられなくなる
判断の分かれ目は、療養がどのくらい続きそうかです。数日から2週間で復帰できる見込みなら有給を優先し、1か月以上かかりそうなら待期の3日分だけ有給を使い、あとは傷病手当金に切り替えるのが基本形になります。
