SNSや検索広告で「退職コンシェルジュ」を見かけて、「退職後に400万円以上もらえるって本当?」「最大28ヶ月なんて怪しくない?」と気になっている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、退職コンシェルジュの公式サイトに掲載されている運営会社情報やよくある質問をもとに、怪しいと言われる理由や評判を中立的な立場で検証します。そのうえで、どんな人ならサービスを利用する価値があるのかも解説します。
退職コンシェルジュとは?サービス内容と運営会社
まずは、退職コンシェルジュがどのような会社によって運営され、どんなサービスを提供しているのかを整理します。
運営会社は豊島区のCREED BANK株式会社
退職コンシェルジュを運営しているのは、CREED BANK株式会社です。公式サイトの「運営会社情報」ページには、次の情報が掲載されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 運営元 | CREED BANK株式会社 |
| 設立 | 2016年9月2日 |
| 代表者名 | 新宮 幸四郎 |
| 資本金 | 5,000万円(資本準備金含む) |
| 所在地 | 東京都豊島区西池袋5-14-8 東海池袋ビル8階 |
| 登録・許可 | プライバシーマーク付与事業者、有料職業紹介事業者許可(13-ユ-318058) |
| 事業内容 | 人材事業(退職コンシェルジュ)、有料職業紹介事業 |
※出典:退職コンシェルジュ「運営会社情報」
設立日や代表者名、所在地に加えて、プライバシーマークや有料職業紹介事業の許可番号まで公開されています。運営実態のない悪質な業者であれば、ここまでの情報を公開することは考えにくいため、運営元の透明性という点では一定の安心材料になります。
また、公式サイトでは、スピネル法律事務所の監修のもとで業務を行っていることを、サービスが選ばれる理由の1つとして挙げています。
傷病手当金と失業保険の申請サポート
退職コンシェルジュの中心となるサービスは、「社会保険給付金サポート」です。公式サイトでは、社会保険給付金を退職後の働いていない期間にもらえる雇用保険や健康保険の給付金の総称と説明しており、具体的には次のような制度を指しています。
| 制度名 | 根拠となる保険 | 概要 |
|---|---|---|
| 傷病手当金 | 健康保険 | 病気やケガで働けない期間の生活を支える給付 |
| 失業保険(基本手当) | 雇用保険 | 再就職先を探している期間の生活を支える給付 |
| 再就職手当 | 雇用保険 | 失業保険の受給中に早期に再就職した場合の給付 |
つまり、退職コンシェルジュは独自の給付金を支給するサービスではなく、国の公的制度を利用するための申請をサポートするサービスです。
サービスの対象について、公式FAQでは、社会保険か雇用保険に1年以上加入していて、まだ申請をしていない方であれば、サービスを受けられると案内しています。ただし、申請にはほかにも細かな条件があるとされているため、自分が対象になるかどうかは面談で確認する必要があります。
このほか、転職支援サービス「はたらっこ」による求人紹介、提携している退職代行サービスの紹介なども行っています。
料金は受給額に応じた手数料制
退職コンシェルジュの料金は、固定の金額ではなく、受給額に応じて変わる手数料制です。公式FAQでは、料金は状況に応じて変わり、プランも複数あるため面談時に案内するとしたうえで、受け取れる総額の10〜15%程度が目安と説明されています。
受給見込額ごとの手数料の目安は、次のとおりです。
| 受給見込額 | 手数料の目安(10〜15%) | 手元に残る金額の目安 |
|---|---|---|
| 100万円 | 10万〜15万円 | 85万〜90万円 |
| 200万円 | 20万〜30万円 | 170万〜180万円 |
| 400万円 | 40万〜60万円 | 340万〜360万円 |
※公式FAQの目安をもとに筆者が試算。実際の料金は面談で確認が必要です。
相談や問い合わせの段階では費用はかからず、料金が発生するのはサービスを契約したときだけとされています。
また、公式FAQでは、サービスを利用しても受給できなかった場合は料金を受け取らず、すでに支払っている場合は全額返金すると回答しています。
WEB説明会から受給までの流れ
公式サイトに掲載されている、利用開始から受給までの流れは次のとおりです。
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| 1. WEB説明会の視聴 | 無料のWEB説明会で、制度やサービスの概要を確認する |
| 2. 面談前アンケートの回答 | 基本情報を入力する |
| 3. 無料の個別面談 | 状況をヒアリングし、利用できる制度や料金の案内を受ける |
| 4. 給付金サポートの開始 | 契約後、申請に向けたサポートが始まる |
| 5. 給付金の受給 | 審査を経て給付金が振り込まれる |
※出典:退職コンシェルジュ公式サイト「ご利用の流れ」
オンライン面談で対応しているため、全国どこからでも利用できるとされています。いきなり契約を迫られるのではなく、説明会と個別面談を経てから契約を判断できる流れになっている点は、利用者にとって検討しやすいポイントです。
退職コンシェルジュが怪しいと言われる5つの理由
運営会社の情報が公開されていても、「怪しい」という声が出るのには理由があります。ここでは、公式情報を確認して見えてきた、怪しいと感じられやすい5つのポイントを解説します。
「社会保険給付金」は正式な制度名ではない
1つ目の理由は、「社会保険給付金」という言葉が、法律で定められた正式な制度名ではないことです。
ハローワークや年金事務所、協会けんぽなどの公的機関のサイトで「社会保険給付金」という制度を探しても、見つかりません。公的な窓口で聞いたことのない名前を広告で目にすると、「実在しない給付金なのでは」と不安になるのは自然なことです。
ただし、前述のとおり、退職コンシェルジュ自身も社会保険給付金を雇用保険や健康保険の給付金の総称と説明しています。実体は傷病手当金や失業保険などの公的制度であり、存在しない給付金をうたっているわけではありません。言葉の分かりにくさが、怪しい印象につながっているといえます。
「最大28ヶ月・400万円以上」の広告表現
2つ目の理由は、「最大28ヶ月」「400万円以上」という大きな数字です。公式サイトでは、退職後に400万円以上を受け取ることや、受給期間が最大28か月であることを大きく打ち出しています。
さらに、公式FAQでは、サービスを利用した場合の受給額について、利用しない場合と比べて平均で数百万円ほど増え、7〜10倍になる方が多いと説明しています。
広告の世界では、目を引くために上限値や最大値を打ち出すのはよくある手法です。しかし、読み手が「自分も400万円以上もらえる」と受け取ってしまうと、実際の受給額との差に不信感を持つことになりかねません。
「最大28ヶ月」は、傷病手当金と失業保険を順番に受け取り、それぞれを条件の上限まで受給した場合の数字と考えられます。誰が28ヶ月に該当するのかについては、後ほど「退職コンシェルジュを利用する前の注意点」で詳しく解説します。
提携クリニックを紹介している
3つ目の理由は、提携クリニックを紹介している点です。公式サイトでは、600か所以上の実績クリニックがあり、自宅の近くにない場合はオンラインクリニックも紹介できると案内しています。
傷病手当金を受け取るには、医師に「働けない状態である」と証明してもらう必要があります。そのため、「クリニックを紹介して診断書を書いてもらうのでは」「本当は働ける人まで受給させようとしているのでは」と疑問を持つ方もいます。
一方で、心身の不調を抱えながらも、どこを受診すればよいか分からずに悩んでいる方にとっては、受診先を紹介してもらえることで、治療を始めるハードルが下がるという側面もあります。
大切なのは、働けない状態かどうかを判断するのは、あくまで医師だという点です。紹介されたクリニックを受診する場合でも、自分の症状をありのままに伝え、医師の判断に従うことが前提になります。
料金が説明会や面談まで分かりにくい
4つ目の理由は、料金が説明会や面談まで分かりにくいことです。公式FAQでは受給総額の10〜15%程度という目安が示されているものの、具体的な料金表は公開されておらず、プランも複数あるため詳細は面談で案内するとされています。
受給見込額が400万円なら、手数料の目安は40万〜60万円です。決して小さな金額ではないため、事前に正確な金額を知りたいと考える方は多いでしょう。
加えて、手数料の10〜15%は「受け取れる総額」を基準にした目安です。受給総額は申請してみるまで確定しないため、実際にいつ、いくら支払うのかは、契約前に必ず確認しておきたいポイントです。一部のメディアでは、料金は契約時に先払いで、後払いには対応していないと報告されています。
自分でできる手続きに手数料がかかる
5つ目の理由は、本来は自分で無料で申請できる手続きに、手数料がかかることです。
傷病手当金は協会けんぽや健康保険組合に、失業保険はハローワークに、それぞれ自分で申請できます。制度の相談も、各窓口で無料で受けられます。
「無料でできる手続きに数十万円を払う」ことに違和感を覚えるのは自然な感覚です。ただし、退職コンシェルジュが提供しているのは、手続きそのものではなく、「どの制度をどの順番で、どのタイミングで利用するか」という計画づくりや、申請までの伴走です。
特に、傷病手当金から失業保険へ切り替える場合は、退職日の過ごし方や受給期間の延長手続きなど、押さえておくべきポイントが多くあります。こうした情報を自分で調べて管理できるか、費用を払ってでもサポートを受けたいかで、サービスの価値は大きく変わります。
退職コンシェルジュの評判・口コミを検証
ここでは、退職コンシェルジュについて寄せられている良い評判と悪い評判を整理します。公式サイトに掲載されている利用者の声だけでなく、第三者のメディアで紹介されている内容もあわせて確認し、偏りのない形で検証します。
良い評判:丁寧で親身なサポートで安心
良い評判として多いのは、「丁寧にサポートしてもらえた」「自分では難しかった手続きを進められた」という声です。
公式サイトでは、利用者の口コミ評価の平均が5点満点中4.4点と紹介されています。掲載されている口コミやインタビューには、次のような内容があります。
| 利用者 | 公式サイトに掲載されている声の要旨 |
|---|---|
| 30代 | 自分だけでは複雑で難しかったと思う |
| 50代以降 | すべて指示してもらい、それを実行するだけで受給できた |
| 30代 | 一つ一つ丁寧にサポートしてくれた |
| 50代以降 | 安心感と信頼感を持ちながら申請できた |
※出典:退職コンシェルジュ公式サイト「お客様の声」
興味深いのは、「最初は詐欺かもしれないと思っていた」「本当にもらえるのか半信半疑だった」という声も、公式サイトにそのまま掲載されている点です。利用前に怪しいと感じていた人が、サポートを受けて考えが変わったという構成になっています。
第三者のメディアでも、Googleレビューには「丁寧」「親身」といった言葉が多く見られると報告されています。また、利用者を対象にしたアンケートを実施したメディアでは、給付金が増えて助かった、手続きがスピーディーに進んだといった声が紹介されています。
退職前後は、体調や気持ちが不安定になりやすい時期です。担当者が親身に話を聞き、何をすればよいかを具体的に示してくれることに、価値を感じている利用者が多いと考えられます。
ただし、公式サイトに掲載されている声は、運営会社が選んで掲載しているものです。良い評判だけで判断せず、次に紹介する悪い評判とあわせて検討しましょう。
悪い評判:手数料が高く感じる
悪い評判や不安の声として多いのは、手数料に関するものです。
第三者のメディアでは、サービスの質には満足していても、受給額の10〜15%という手数料への受け止め方は人によって分かれると指摘されています。受給額が大きくなるほど手数料の金額も大きくなるため、数十万円の支払いに抵抗を感じる方がいるのは自然なことです。
支払い方法についても、注意点を指摘する声があります。あるメディアでは、退職コンシェルジュは後払いサービスに対応しておらず、料金は契約時に先払いになると紹介されています。同じメディアでは、クレジットカードの分割払いを利用する場合、カード会社の手数料とサービス側の分割手数料が重なる可能性があるため、契約前に総額を計算するよう呼びかけています。
退職前後は収入が不安定になりやすい時期です。受給が始まる前にまとまった金額を支払う必要がある点は、利用前にしっかり確認しておきたいポイントです。
退職コンシェルジュは詐欺・違法なのか?
「怪しい」と検索する方が最も気になるのは、詐欺や違法なサービスではないかという点でしょう。公開されている情報をもとに、3つの観点から検証します。
公的制度に基づく申請サポートである
退職コンシェルジュが扱っているのは、健康保険法に基づく傷病手当金や、雇用保険法に基づく失業保険(基本手当)、再就職手当などの公的制度です。いずれも、条件を満たせば誰でも受け取れる正規の制度です。
国の制度を利用するための相談やサポートを有料で提供すること自体は、違法ではありません。料金に見合う価値があるかどうかは別の問題ですが、「存在しない給付金をうたってお金をだまし取る」という意味での詐欺とは性質が異なります。
弁護士監修と会社情報を開示している
前述のとおり、退職コンシェルジュは法律事務所の監修を受けていることを公表しており、運営会社情報のページでは、所在地や代表者名、資本金、プライバシーマーク、有料職業紹介事業の許可番号まで公開しています。
また、申請書類の作成や提出を本人に代わって行う「申請代行」は、提携する社会保険労務士事務所との別契約になると案内されています。報酬を得て社会保険の申請書類を作成・提出することは、原則として社会保険労務士の業務とされているため、この点は法律に沿った役割分担といえます。
一方で、手数料に含まれるのはどこまでのサポートなのか、申請代行を依頼した場合の追加費用はいくらなのかは、契約前に確認しておく必要があります。
受給の可否は健康保険とハローワークが判断
退職コンシェルジュを利用しても、給付金を支給するかどうかを決めるのは、サービスではありません。
| 制度 | 受給の可否を判断する機関 |
|---|---|
| 傷病手当金 | 加入していた協会けんぽ・健康保険組合 |
| 失業保険・再就職手当 | ハローワーク |
つまり、退職コンシェルジュには給付金を支給する権限も、審査を通す権限もありません。サービスが提供するのは、あくまで「制度を利用するための計画づくりと申請に向けたサポート」です。公式FAQで「受給できなかった場合は全額返金」とされているのも、受給の可否が最終的に公的機関の判断で決まるためと考えられます。
退職コンシェルジュを利用する前の注意点
退職コンシェルジュが詐欺と断定できるサービスではないとしても、契約前に理解しておきたい注意点はあります。ここでは、制度の仕組みと公式情報をもとに、特に確認しておきたい4つのポイントを解説します。
「最大28ヶ月」は条件を満たす人に限られる
公式サイトで打ち出されている「最大28ヶ月」は、傷病手当金と失業保険を順番に受け取り、それぞれを上限近くまで受給した場合の数字と考えられます。傷病手当金と失業保険は同時には受け取れないため、療養期間に傷病手当金を受け取り、回復してから失業保険に切り替える流れです。
傷病手当金は通算で最長1年6ヶ月
傷病手当金の支給期間は、支給を開始した日から通算して最長1年6ヶ月(18ヶ月)です。支給額は、1日あたり標準報酬日額の約3分の2です。
ここで注意したいのは、1年6ヶ月は「退職してから」ではなく、「支給が始まってから」数える点です。在職中に傷病手当金を受け取り始めていた場合は、その期間も通算に含まれます。
また、途中で体調が回復して働ける状態になれば、その時点で支給は終わります。傷病手当金を18ヶ月受け取れるのは、療養が長期にわたって必要な場合に限られます。
失業保険が長くなるのは就職困難者の場合
失業保険の所定給付日数は、退職理由や年齢、雇用保険の加入期間によって決まります。一般的な自己都合退職の場合は90〜150日で、月数に換算すると3〜5ヶ月ほどです。
所定給付日数が大きく伸びるのは、障害者手帳を持っている方など、ハローワークで「就職困難者」と認められた場合です。
| 区分 | 所定給付日数 |
|---|---|
| 一般の離職者(自己都合など) | 90〜150日 |
| 就職困難者(45歳未満、加入期間1年以上) | 300日 |
| 就職困難者(45歳以上65歳未満、加入期間1年以上) | 360日 |
たとえば、傷病手当金を18ヶ月受け取った後、就職困難者として失業保険を300日(約10ヶ月)受け取れば、合計で28ヶ月前後になります。一方、一般の自己都合退職として90日分を受け取る場合は、合計で21ヶ月ほどです。
なお、傷病手当金を長く受け取った後に失業保険を受け取るには、ハローワークで失業保険の受給期間を延長する手続きが必要です。病気などで30日以上働けない場合、受給期間は最大3年延長でき、本来の1年と合わせて最長4年になります。
面談では、「自分の場合、何ヶ月受け取れる見込みなのか」「その前提となる条件は何か」を具体的に確認しましょう。
退職日の出勤などで受給できないことも
傷病手当金を退職後も受け取るには、次の条件をすべて満たす必要があります。
- 退職日までに、健康保険の被保険者期間が継続して1年以上ある
- 退職日の時点で、傷病手当金を受け取っているか、受け取れる状態にある
- 退職日に出勤していない
特に注意したいのが、「退職日に出勤していない」という条件です。退職日に挨拶や引き継ぎのために出勤すると、働ける状態だったとみなされ、退職後の傷病手当金を受け取れなくなる場合があります。
また、傷病手当金を受け取るには、連続する3日間の待期期間を含めて4日以上働けない状態である必要があります。退職日の直前に初めて休む場合などは、待期期間の条件を満たせないこともあります。
こうした条件は、退職前の過ごし方で結果が変わるため、退職日が決まる前に確認しておくことが大切です。公式FAQでは退職済みでも条件を満たせば間に合うケースが多いとされていますが、選択肢を狭めないためにも、相談はできるだけ退職前に行いましょう。
全額返金保証の条件を確認する
公式FAQでは、サービスを利用しても受給できなかった場合は料金を受け取らず、支払い済みの場合は全額返金すると案内されています。受給できなかった場合のリスクが小さい点は、利用者にとって安心材料です。
ただし、「受給できなかった」の範囲は、契約前に具体的に確認しておく必要があります。たとえば、次のようなケースはどう扱われるのでしょうか。
- 傷病手当金は受給できたが、失業保険は受給できなかった
- 受給はできたが、面談で案内された見込みより期間が短かった
- 体調が早く回復して、自分の判断で職場復帰した
特に、手数料が「受け取れる総額の10〜15%」を目安に決まる仕組みの場合、手数料の計算の基準が「見込みの受給総額」なのか「実際の受給総額」なのかで、支払う金額が大きく変わります。実際の受給額が見込みより少なかった場合に差額が返金されるのかどうかも、あわせて確認しておきましょう。
口頭での説明だけでなく、契約書面に返金の条件がどのように書かれているかを確認することが大切です。
事実と異なる申請は不正受給になる
最も注意したいのが、不正受給のリスクです。傷病手当金は「働けない状態」、失業保険は「働ける状態」であることが前提の制度です。実際の状態と異なる内容で申請すると、不正受給にあたります。
たとえば、実際には働ける状態なのに症状を大きく伝えて傷病手当金を受け取ったり、傷病手当金の受給中に申告せずに働いたりすることは、不正受給です。失業保険の場合、不正受給が発覚すると、受け取った給付金の返還に加えて最大でその2倍の納付を命じられ、合計で受給額の3倍を支払わなければならない場合があります。悪質な場合は、詐欺罪として刑事責任を問われる可能性もあります。
そして、不正受給の責任を負うのは、サポートした事業者ではなく、申請した本人です。紹介されたクリニックを受診する場合も含めて、自分の症状や状況はありのままに伝えましょう。
退職コンシェルジュが向いている人・向いていない人
ここまで見てきたとおり、退職コンシェルジュは公的制度の申請をサポートするサービスで、詐欺と断定できる材料は見当たりません。一方で、手数料は受給額の10〜15%程度と決して安くはないため、利用する価値があるかどうかは人によって大きく異なります。
ここでは、公式情報や制度の仕組みをもとに、退職コンシェルジュが向いている人と、自分で申請したほうがいい人を整理します。
退職コンシェルジュの利用が向いている人
退職コンシェルジュの利用を検討する価値があるのは、次のような方です。
心身の不調で療養が必要なまま退職を考えている方
退職コンシェルジュの強みは、傷病手当金と失業保険を組み合わせた受給計画を立てられる点です。体調不良で働けない状態のまま退職する場合、退職日の過ごし方や受給期間の延長手続きなど、押さえておくべきポイントが多くあります。療養に専念しながら手続きを進めたい方にとっては、サポートを受ける意味が大きいといえます。
退職前の段階から相談できる方
傷病手当金を退職後も受け取れるかどうかは、退職日までの過ごし方で決まる部分があります。退職日が決まる前に相談できれば、受給の条件を満たすための準備を進めやすくなります。
制度を調べて手続きを管理するのが負担な方
傷病手当金は健康保険、失業保険はハローワークと、窓口も手続きも異なります。複数の制度の条件や期限を自分で調べて管理するのが難しい方にとって、何をいつすればよいかを示してもらえるサポートは心強い存在です。
地方に住んでいて近くに相談先が少ない方
公式FAQでは、オンライン面談で全国どこでも対応していると案内されています。身近に相談できる専門家がいない方でも利用しやすい点はメリットです。
自分で申請したほうがいい人
一方で、次のような方は、退職コンシェルジュを利用せず、自分で申請するほうが合理的です。
健康ですぐに転職活動を始める方
心身の不調がなく、退職後すぐに働ける状態の方が利用できるのは、主に失業保険と再就職手当です。傷病手当金を組み合わせないのであれば、ハローワークで無料で相談・申請するだけで十分なケースがほとんどです。
すでに転職先が決まっている方
失業保険は、再就職先を探している方のための制度です。転職先が決まっている方は、原則として受け取れません。
社会保険・雇用保険の加入期間が1年未満の方
公式FAQでは、サービスの対象を社会保険か雇用保険に1年以上加入していて、まだ申請をしていない方としています。加入期間が短い方や、すでに申請を済ませている方は、対象外となる可能性があります。
手数料の先払いが負担になる方
一部のメディアでは、料金は契約時の先払いで、後払いには対応していないと報告されています。受給が始まる前にまとまった金額を用意するのが難しい方は、無理に利用しないほうがよいでしょう。
自分で制度を調べて手続きできる方
傷病手当金も失業保険も、本来は自分で申請できる制度です。時間と気力に余裕があり、加入している健康保険やハローワークに相談しながら進められる方は、手数料を支払わずに同じ給付を受け取れます。
手数料を払う価値があるかの判断基準
退職コンシェルジュを利用するかどうかは、「手数料を払っても、自分で申請する場合より手元に残るお金や得られる安心が大きいか」で判断するのが基本です。
まずは、受給見込額に対する手数料の目安を確認しておきましょう。たとえば、傷病手当金を月20万円で18ヶ月、失業保険を月17万円で3ヶ月受け取るケースで考えます。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 傷病手当金(月20万円 × 18ヶ月) | 360万円 |
| 失業保険(月17万円 × 3ヶ月) | 51万円 |
| 受給総額 | 411万円 |
| 手数料の目安(10〜15%) | 約41万〜62万円 |
| 手元に残る金額の目安 | 約349万〜370万円 |
※公式FAQの手数料の目安をもとに筆者が試算
ここで考えたいのは、「自分で申請していたら、同じ金額を受け取れたかどうか」です。
公式FAQでは、サービスを利用すると、利用しない場合と比べて受給額が平均で数百万円増え、7〜10倍になる方が多いと説明されています。ただし、この比較は、「制度を知らずに何も申請しなかった場合」や「失業保険だけを受け取った場合」と比べたものと考えられます。制度を理解したうえで自分で傷病手当金と失業保険を申請できる方にとっては、サービスを利用しても受給総額はほとんど変わらず、手数料の分だけ手元に残るお金は少なくなります。
つまり、手数料を払う価値があるのは、次のどちらかに当てはまる場合です。
- 自分だけでは、傷病手当金の条件を満たせなかったり、受給期間の延長を忘れたりして、受け取れる給付を逃してしまうおそれが大きい
- 療養中で手続きを管理する余裕がなく、手数料を払ってでも負担を減らしたい
退職コンシェルジュに申し込む前の確認リスト
退職コンシェルジュの利用を検討している方は、申し込む前に次の3つのステップで確認を進めると、後悔のない判断につながります。
WEB説明会とシミュレーションで目安を知る
退職コンシェルジュの公式サイトでは、無料のWEB説明会に加えて、傷病手当金・失業保険・再就職手当の受給額シミュレーションが用意されています。まずはシミュレーションで、自分がどのくらい受け取れる可能性があるのかを把握しましょう。
あわせて、自分でも受給額の目安を計算しておくと、面談で案内される金額を客観的に見られます。
| 制度 | 受給額の目安の計算方法 |
|---|---|
| 傷病手当金 | 直近12ヶ月の標準報酬月額の平均 ÷ 30 × 3分の2 = 1日あたりの支給額 |
| 失業保険 | 退職前6ヶ月の給与合計(賞与を除く)÷ 180 = 賃金日額。その50〜80%が1日あたりの支給額 |
標準報酬月額は、給与明細の健康保険料や、会社の担当者への確認で調べられます。シミュレーションの結果と自分で計算した金額に大きな差がある場合は、面談でその理由を確認しましょう。
個別面談で必ず聞きたい質問
個別面談は無料で受けられ、公式FAQでも相談だけでも問題ないと案内されています。面談では、次の質問を確認しておくと、契約後のトラブルを防ぎやすくなります。
| 確認したい項目 | 質問の例 |
|---|---|
| 手数料 | 自分の場合、手数料は何%で、金額はいくらになるのか |
| 手数料の計算基準 | 手数料は見込みの受給総額と実際の受給総額のどちらで計算するのか |
| 支払い時期と方法 | いつ、どの方法で支払うのか。分割の場合の総額はいくらか |
| 返金の範囲 | どのような場合に全額返金され、一部だけ受給できた場合はどうなるのか |
| 途中解約 | 体調が回復して職場復帰した場合など、途中でやめたときの扱いはどうなるのか |
| サポートの範囲 | 手数料に含まれるサポートはどこまでか。申請代行の追加費用はいくらか |
| 受給の見込み | 自分は何ヶ月受け取れる見込みで、その前提となる条件は何か |
| クリニックの紹介 | クリニックの紹介は任意か。現在の主治医を受診し続けてもよいか |
特に、受給の見込みについては、「就職困難者に該当する前提か」「受給期間の延長を前提にしているか」など、数字の根拠となる条件まで確認することが大切です。
また、面談の場で契約を決める必要はありません。少しでも迷いがある場合は、いったん持ち帰り、家族に相談したり、加入している健康保険やハローワークで制度を確認したりしてから判断しましょう。
契約書面の手数料・返金条件を読む
申し込みを決めたら、契約書面の内容を必ず確認しましょう。特に、次の4点は署名や支払いの前にチェックしておきたいポイントです。
- 手数料の金額と計算方法
- 全額返金の条件と、返金を受ける場合の手続き方法
- 途中解約した場合の扱いと、違約金の有無
- クーリングオフの可否と、その方法・期限
口頭で説明を受けた内容と、書面の記載が異なる場合は、書面の内容が優先されるのが一般的です。面談で聞いた内容が書面に反映されているかを確認し、契約書面は受給が終わるまで大切に保管しておきましょう。
まとめ:退職コンシェルジュの評判は怪しい?ニーズに合えば検討の価値あり
退職コンシェルジュについて、公式サイトの運営会社情報やよくある質問をもとに、怪しいと言われる理由や評判を検証しました。この記事のポイントを振り返ります。
- 退職コンシェルジュはCREED BANK株式会社が運営する、傷病手当金や失業保険などの公的制度の申請サポートサービス
- 運営会社の所在地や代表者名、許可番号まで公開されており、公開情報を見る限り詐欺と断定できる材料は見当たらない
- 料金は受給総額の10〜15%程度が目安の手数料制で、受給できなかった場合は全額返金と案内されている
- 怪しいと言われる主な理由は、「社会保険給付金」が正式な制度名ではないこと、「最大28ヶ月・400万円以上」という広告表現、提携クリニックの紹介、料金の分かりにくさ、自分でできる手続きに手数料がかかること
- 「最大28ヶ月」は、傷病手当金を長期間受け取り、就職困難者として失業保険を受け取る場合など、条件を満たす人に限られる
- 事実と異なる申請は不正受給となり、責任を負うのは申請した本人
退職コンシェルジュは、「心身の不調で療養が必要なまま退職を考えている方」「退職前の段階から相談できる方」「複数の制度の手続きを自分で管理するのが負担な方」にとっては、検討する価値のあるサービスです。
大切なのは、「怪しいかどうか」だけで判断するのではなく、自分の状況で手数料を支払う価値があるかどうかを見極めることです。まずは無料のWEB説明会やシミュレーション、個別面談で情報を集め、この記事で紹介した確認リストを使って条件を確かめたうえで、納得できる選択をしましょう。
