Salesforce認定Platformデベロッパーは、その高い専門性から多くの開発者が目指す価値ある資格です。しかし、ApexやLightningコンポーネントといったSalesforce独自の開発知識が広範囲に問われるため、効率的な学習計画が合格の鍵となります。本記事では、出題範囲の要点を押さえつつ、実践的なスキルを身につけるための具体的な勉強方法と、試験合格に向けた効果的な対策を分かりやすく解説します。
Salesforce認定Platformデベロッパーとは?
Salesforce認定Platformデベロッパーは、Salesforceプラットフォーム上でアプリケーションを開発・拡張できるスキルを証明する公式資格です。この資格は、SalesforceのLightningプラットフォームを使ってカスタムビジネスロジックやユーザーインターフェースの作成ができることを求められます。
主にApexやVisualforce、Lightningコンポーネントなど、プログラム的な開発機能の習得状況が評価されます。また、宣言型開発(ポイント&クリック)の活用力や、データモデルの設計、プロセス自動化、テストやデバッグ、リリースフローなど幅広い知識が問われます。
試験の概要(種類、試験時間、費用、有効期限)
項目 | 内容 |
---|---|
種類 | 多肢選択・複数選択式試験 |
問題数 | 60問 |
試験時間 | 105分 |
合格基準 | 68%以上 |
受験料 | 30,000円(税抜) |
再受験料 | 15,000円(税抜) |
受験方法 | オンラインまたは指定会場 |
有効期限 | 年に3回の更新必須(メンテナンス) |
Salesforce認定Platformデベロッパー試験は、多肢選択または複数選択形式で出題され、全60問を105分で解答します。合格基準は68%以上とされており、試験後すぐに合否が判定されます。受験料は30,000円(税抜)、再受験の場合半額となっています。オンライン受験または全国のテストセンターでの受験が可能ですが、オンラインの場合はWebカメラが必須です。
Salesforce認定Platformデベロッパーの勉強方法
Salesforce認定Platformデベロッパー試験の合格に向けた、3つの重要な勉強方法をご紹介します。
1. Trailheadで基礎を固める
まずは、Salesforceの公式学習プラットフォームであるTrailheadを徹底的に活用しましょう。特に「認定Platformデベロッパー資格の準備」に関連するトレイルやモジュールは、試験範囲を網羅的にカバーしており、必須の学習項目です。
- ハンズオン:Apex、Visualforce、Lightningコンポーネントなどの主要なトピックについて、実際にコードを書きながら学べるハンズオンチャレンジに必ず取り組みましょう。手を動かすことで、知識が定着しやすくなります。
- Superbadge:より実践的なシナリオで知識を応用する「Superbadge」もおすすめです。「Apexスペシャリスト」や「データインテグレーションスペシャリスト」などは、開発スキルを総合的に高めるのに役立ちます。
2. データモデルと自動化の理解を深める
Platformデベロッパー試験では、単にコードが書けるだけでなく、Salesforceのデータモデル(オブジェクト、リレーション)と自動化ツール(フロー、Apexトリガー)を深く理解しているかが問われます。
- ガバナ制限:Apexトリガーや非同期処理(Futureメソッド、Queueable Apex、Batch Apex)を学ぶ際には、ガバナ制限を意識することが非常に重要です。どの処理にどのような制限があり、どうすれば回避できるのかを理解しておきましょう。
- 実行順序:レコードが保存される際の実行順序を正確に把握することは、意図しない動作を防ぎ、効率的なコードを書く上で不可欠です。どのタイミングでどの自動化が実行されるのかを整理しておきましょう。
3. 模擬試験で実践力を養う
基礎知識と応用力を身につけたら、過去問など問題集を活用して本番に近い形式で問題を解く練習をしましょう。これにより、知識の定着度を確認し、苦手分野を特定できます。
Salesforceの認定試験は、独自の言い回しやシナリオベースの問題が多く出題されます。様々なパターンの問題に触れておくことで、本番で戸惑うことが少なくなります。
Salesforce認定Platformデベロッパーの具体的な試験対策
Salesforce認定Platformデベロッパー試験での得点アップに直結する、より具体的な3つの対策ポイントをご紹介します。
1. 配点が大きい分野の「なぜ」を深く理解する
試験の得点を効率的に上げるには、配点の大きい
「プロセスの自動化とロジック」(Process Automation and Logic)、「開発の基礎」(Developer Fundamentals)の分野を重点的に学習することが不可欠です。
特に、以下のトピックは単に暗記するのではなく、「なぜそうなるのか」という仕組みまで深く掘り下げて理解しましょう。
- トリガーの実行順序 (Order of Execution):レコードが保存される際に、どの自動化がどの順番で動くのかを正確に説明できるようにしましょう。例えば、「
before
トリガーとafter
トリガーの違いは何か」「入力規則やワークフロールールはどのタイミングで評価されるのか」といった点を、他人に解説できるレベルまで理解することが高得点に繋がります。 - ガバナ制限:SOQLクエリの発行回数やDMLステートメントの実行回数など、主要なガバナ制限の数値を覚えるだけでなく、「なぜこの制限があるのか」「どうすれば回避できるのか(一括処理化など)」をセットで学習します。コードスニペット(短いコードの断片)を読んで、ガバナ制限に抵触するかどうかを判断する問題は頻出です。
2. コード読解力とデバッグ能力を徹底的に鍛える
試験では、「このコードを実行するとどうなるか?」を問う問題が数多く出題されます。自分でコードを一から書ける能力も重要ですが、他人が書いたコードを正確に読み解き、その結果や潜在的な問題を予測する能力が直接得点に結びつきます。
- 多様なコードに触れる:TrailheadのモジュールやSuperbadge、Web上のサンプルコードなど、できるだけ多くのApexコードに触れましょう。特に、
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ループ内のSOQLクエリやDMLステートメントなど、非効率なコードの典型例を見て、どこが問題で、どう改善すべきかを瞬時に判断できるように訓練します。 - デバッグログの活用:デバッグログを読み解く練習も有効です。開発者コンソールで実際にコードを実行し、ログから変数の値の遷移やガバナ制限の使用状況を確認する癖をつけましょう。これにより、コードの内部的な動きへの理解が格段に深まります。
3. 模擬試験の「戦略的」な活用法
模擬試験は、単に知識を確認するためだけのものではありません。本番での得点を最大化するための戦略的なツールとして活用しましょう。
- 苦手分野の特定と集中学習:模擬試験を解いた後は、必ず採点結果のセクション別正答率を確認します。そして、最も正答率が低かった分野から優先的に復習を始めます。時間を計って解き、間違えた問題については「なぜその選択肢が正解で、他の選択肢は不正解なのか」を全ての選択肢について説明できるまで徹底的に調べ、理解することが重要です。
- 消去法と問題パターンの把握:正解がすぐに分からなくても、明らかに間違っている選択肢を消去していくことで、正答率を上げることができます。模擬試験を繰り返し解くことで、Salesforce特有の問題文のニュアンスや、引っかかりやすい選択肢のパターンに慣れることができます。これにより、本番でも落ち着いて問題に対処できるようになります。
まとめ
本記事では、Salesforce認定Platformデベロッパー資格に合格するための具体的な勉強方法と試験対策を解説しました。Trailheadでの体系的な学習、Developer ConsoleやVS Codeを使った実践的なコーディング、そして模擬試験を繰り返し解くことで、合格に必要な知識とスキルは着実に身につきます。重要なのは、単なる暗記ではなく「なぜその技術が必要なのか」「どのような場面で最適なのか」を常に考えながら学習を進めることです。
この資格は、あなたのSalesforce開発者としての専門性を客観的に証明し、キャリアの可能性を大きく広げる強力な武器となります。しかし、合格はゴールではなく、新たなスタートです。Salesforceの技術は絶えず進化しており、資格を維持するためには年に一度の更新モジュール完了が必須です。この学びの習慣を継続し、常に最新の知識を追求することで、市場価値の高いデベロッパーとして活躍し続けることができるでしょう。この記事が、あなたの合格への一助となれば幸いです。