Salesforce認定上級Platformデベロッパー資格は、高度なApex開発スキルや複雑なビジネスロジックの設計・実装能力を証明する専門的な認定資格です。
資格取得には、基礎知識の習得だけでなく、体系的な学習や模擬問題を使った反復練習、実際のプラットフォーム上での設計・実装経験が不可欠です。これから受験を目指す人に向けて、効率的な勉強法と試験対策のポイントを解説します。
Salesforce認定上級Platformデベロッパーとは?
Salesforce認定上級Platformデベロッパーは、Salesforce Platformにおける高度なプログラミング能力や複雑なビジネスロジックの開発力を証明する資格です。この資格を取得することで、ApexやVisualforce、LightningコンポーネントなどSalesforceの主要な技術を駆使し、大規模案件やエンタープライズレベルの開発業務に対応できることが認められます。具
体的には、複雑なデータ設計やテストコードの作成、パフォーマンス最適化、インテグレーション実装といった高度な開発スキルに加え、セキュリティを考慮した設計やガバナ制限を意識した実装も重視されます。
Salesforce認定上級Platformデベロッパーの勉強方法
1. Trailheadで公式モジュールやSuperbadgeを徹底的に学習
Trailheadで公式モジュールやSuperbadgeを徹底的に学習することです。TrailheadはSalesforce公式が提供する無料学習プラットフォームであり、基礎から応用まで体系的な知識を実際に手を動かしながら修得できます。
特にSuperbadgeは、実践的なシナリオに沿って設計・実装・テストまでを自分自身で完遂する必要があり、現場に近い経験値を得ることができます。例えば「Apex Specialist」や「Data Integration Specialist」といったSuperbadgeでは、複雑なビジネスロジックやデータ統合処理に取り組むため、設計力と実装力が鍛えられます。また、Trailhead上で進捗管理やバッジ獲得による達成感が得られるため、継続的に学習を進めやすい点も大きな利点です。
2. 模擬問題や過去問を繰り返し解く
模擬問題や過去問を繰り返し解くことは非常に効果的です。
模擬問題集には、実際の試験によく出題されるApexトリガーやバッチ処理、非同期処理、テストコードの作成など幅広い分野の問題が含まれており、問題ごとに詳細な解説が付いていることが多いため、誤答の理由や正解の背景を理解しやすい特徴があります。さらに、最新の試験傾向に合わせてアップデートされた過去問を活用すれば、現場で必要な設計思想や実務的な知識も身につけることができ、単なる暗記ではなく応用力の向上にもつながります。
これらの問題演習を通じて、自身の理解度を定期的にチェックし、苦手分野を重点的に復習することが試験合格への近道となります。
おすすめの問題集は以下になります。


問題集の内容は、Apexトリガー、プロセスオートメーション、カスタムメタデータ型の利用法、テストクラスの構成、部分的なDML成功の処理、非同期処理の設計など、試験で頻出の実践的なテーマを網羅しています。また、解説は単純な正誤だけでなく、理由や背景も丁寧に説明されており、理解を深めながら確実に合格力を高められる構成です。これを活用することで、効率的かつ実践的に試験対策ができるため、多くの受験者から高評価を得ている問題集です。
3. 設計力や実装力を実際のプラットフォーム上で鍛える
Trailheadで基礎を固めた後は、Developer ConsoleやVS Codeなどの実際の開発環境を利用して手を動かし、Apexコードの実装やLightning Web Componentsの開発、バッチ処理や非同期処理といった実務に直結するタスクを自分で設計・実装することが求められます。
特にSuperbadgeは実践的なシナリオ問題を通じて、論理的な設計や効率的なコーディング力を磨く場であり、エラー処理やパフォーマンス改善も経験できます。
リアルな環境で繰り返しチャレンジすることで、単なる知識習得ではなく、実践的で応用力の高いスキルを身につけ、試験合格後も即戦力として活躍できる力を養うことができます。
Salesforce認定上級Platformデベロッパーの具体的な試験対策
Salesforce認定上級Platformデベロッパー試験の得点を具体的に向上させるための3つの重要な対策は、
ガバナ制限を意識した設計能力の証明、非同期処理の適切な選択と実装、そして高度なテスト戦略の理解です。
1. ガバナ制限を意識した設計・実装パターンを徹底的に理解する
上級デベロッパー試験では、「あるべき論」としてのベストプラクティスだけでなく、Salesforceプラットフォームの厳しいガバナ制限内で、いかに効率的でスケーラブルなコードを書けるかが問われます。
- 具体的な対策:
- SOQLクエリの最適化: 1回のトランザクションで発行できるSOQLクエリ(100回)や取得できるレコード件数(50,000件)の制限を常に意識してください。
for
ループ内でSOQLを発行する、DMLステートメントを実行するといった典型的なガバナ制限違反のコードを避け、一括処理(Bulkification)を徹底することが重要です。Map
やSet
を活用して、処理対象のIDを効率的に収集し、一度のクエリで必要なデータをまとめて取得するコーディングパターンを体に染み込ませましょう。 - ヒープサイズ対策: 大量データを扱うシナリオでは、ヒープサイズ(同期6MB、非同期12MB)の制限に抵触しない設計が求められます。SOQL For Loops(
for (Account acc : [SELECT Id, Name FROM Account])
)を適切に使い、メモリ消費を抑える方法を理解しておくことが得点に繋がります。 - CPUタイムアウト対策: 複雑な計算やネストの深いループはCPU時間(同期10秒、非同期60秒)を消費します。コードの計算量を意識し、より効率的なアルゴリズムを選択する能力が試されます。
- SOQLクエリの最適化: 1回のトランザクションで発行できるSOQLクエリ(100回)や取得できるレコード件数(50,000件)の制限を常に意識してください。
2. 非同期処理(Future, Queueable, Batch, Schedulable)の使い分けをマスターする
上級試験では、単純なトリガー処理だけでなく、大量データ処理や外部システム連携といった複雑な要件に対応するための非同期Apexに関する問題が頻出します。それぞれの特徴、利点、そして制限をシナリオベースで判断できるかが鍵となります。
- 具体的な対策:
- シナリオ別選択: 「外部APIをコールアウトしたいが、トリガーからは直接実行できない」「数百万件のレコードを一度に更新したい」「処理の進捗を監視し、後続の処理をチェーンさせたい」といった具体的なシナリオに対し、なぜFutureではなくQueueableを選ぶのか、なぜBatch Apexが最適なのかを明確に説明できるレベルまで理解を深めてください。
- 各機能の特性と制限:
- Future (
@future
): 最も手軽な非同期処理ですが、パラメータはプリミティブ型のみ、処理の監視ができないといった制限があります。 - Queueable Apex: Futureの進化版で、オブジェクトをパラメータとして渡せ、ジョブIDを取得して監視したり、処理をチェーン(連結)させたりできます。
- Batch Apex: 大規模データセットをチャンクに分割して処理するための仕組みです。
Database.Stateful
を実装することで、チャンク間で状態を保持できる点を理解しておきましょう。 - Schedulable Apex: 特定の時間にバッチ処理などを定期実行する場合に使用します。
- Future (
3. 高度なテスト戦略とデバッグ手法を深く理解する
上級デベロッパーには、コード品質を保証するための高度なテスト手法が求められます。単にカバレッジ75%を満たすだけでなく、堅牢で信頼性の高いテストクラスを作成する能力が問われます。
- 具体的な対策:
- テストデータの分離と作成:
seeAllData=true
の使用は原則として避け、@testSetup
アノテーションを用いてテストメソッド間で共有するデータを効率的に作成する方法を習得してください。これにより、テストの実行速度が向上し、保守性も高まります。テストデータファクトリクラスを作成し、一貫性のあるテストデータを生成するパターンも重要です。 - アサーションの徹底:
System.assert()
やSystem.assertEquals()
を多用し、「コードが実行されたこと」だけでなく、「期待通りの結果になったこと」を検証するテストを作成する習慣をつけましょう。1つのテストメソッドでは、1つの特定の機能やロジックを検証することに集中するのがベストプラクティスです。 - モックとスタブの活用: 外部APIコールアウトを含むコードをテストする場合、
HttpCalloutMock
インターフェースを実装したモッククラスを使用して、実際のコールアウトを行わずにテストを完結させる方法を必ず押さえておきましょう。これにより、外部システムの状況に依存しない安定したテストが可能になります。
- テストデータの分離と作成:
まとめ
模擬問題や過去問で出題傾向を把握し、苦手分野を重点的に復習することで効率的に合格力を高められます。
知識の暗記だけでなく、その背景や理由まで理解し応用できるレベルを目指すことで、実務に役立つスキルも同時に磨けます。これらの対策をバランスよく進めることが、上級Platformデベロッパー試験合格の秘訣です。